愛子ちゃんシリーズ | ナノ



「ちがう。そこare」
「えーうそだー。越前くん間違ってない?」
「帰国子女が中一の問題に悩むわけないじゃん。はい直す」

えー。テストが近いです。テスト期間中は部活も無いから勉強に没頭するんですが…………じつはワタクシ、英語が大の苦手科目でして…。不本意ながら越前くんに教えてもらってます。ええ、不本意ながらね。ここ重要。だぁって越前くんスパルタなんだもん。ぶちょー並み。同じ単語何回も書かされるわ、教科書の例文何回も書かされるわ、手にタコができちゃったじゃんか!ばか!

「手にタコができたらあんた人間じゃないから、早くやる」
「鬼!」

ほんとは桜乃ちゃんに教えてもらうつもりだったんだけどさ、なにがどうあったか、大石先輩じきじきに命令が下りましてね。あたしのテストの点が見られたことが第一の発端でした。ふっ、2●点てね…。あたし的にはまだマシなほうだと思ったんだけどさ、大石先輩の顔が見る見る冷やかになってきたことからあたしは地獄の予感を感じ取っていました。そんであたしの講師役としてあえて越前くんを指名したのです。大石先輩は受験生だから自分の勉強したいんだと。なんと無責任な

「…これなら大石先輩のほうがよかったかも」

近くのファミレスで勉強を始めて早2時間。英語ぶっ通しの単語と例文の書きすぎで指がえらいことになってます。真っ赤っか。あたしは自分のコップを持ってドリンクバーへと足を運ぶ。と、そこへ見知った顔が何人かいるなーと思って顔をちらりと見たらなあんだ氷帝の人たちじゃんと分かってあたしはたぷたぷとメロンソーダを入れるのであった

「おい、なんでお前ここにいんだ」
………素性がバレたので逃げるのであった
「おい、無視してんじゃねえ」
「そりゃこっちのセリフですよ。天下の氷帝学園がこんなファミレスになにしにきてるんですか」
「俺たちだってファミレスくらい来るぞ」

どうやら来ているのは大将とカエルさんとメガネさんと逆越前くんらしい。樺地さんもいるや。まあ樺地さんは当然か

「で、お前は誰と来てんだよ?」
「…炭酸中毒の鬼講師です」
「は?」

そう。自分のだけだと言ったけど、ほんとはもう片方もってるんだよね。鬼講師の分を。ファンタはないからメロンソーダでいいだろ。炭酸に変わりはないし



「…で、なんでこの人たち来たの」
「なんかね、勉強教えてくれるって」
「誰がお前に勉強教えるっつった?勉強なんざ授業聞いてりゃなんとでもなんだろ」
「なっ、なんでそんなさらりと簡単に済ませるんだ…!?」
「跡部は学年トップだしなー」
「せやな」

なんと!大将は氷帝学園トップ!くそっあたしより勉強できてなかったらからかってやろうと思ってたのに、この人欠点ないな…。ちきしょう

「ていうか…なんだこれ。dogが途中からdagになってんぞ」
「……………………アレ?」
「…あんた、なんで何度も書いてるのにoがaになるの」
「え、いや、あたしにもさっぱりなんだけど」

間違えないようにと何度も書いてたのに、いつのまにか間違えたまま書いていた。しかもmusicがmesicってどんな間違い!?

「お前致命的だな…!」
「わっ笑わないでください!真剣にやってるんですから!」
「せやからって、中1からこれじゃあ先行き不安やな」

と、いうことで、鬼講師に加えてエリート集団にも教えてもらうことになった。教えてもらうっていうかもう特訓?一語一句間違えてないかすごく調べられた。もうカエリタイ


「ったく、中1の問題でこんなに苦戦するなんざ、とんだ馬鹿だぜ」
「……………」

学年トップにいわれちゃおしまいだ。悔しいけどなにも言い返せません

「…仕方ねえ、エサでも釣ってやる気を起こさせるか」

跡部さんはいきなり指ぱっちんをした。するといいタイミングというかなんというか、パフェが二つほど出てきた

「え、ええええ!?これ跡部さんが頼んだんですか!?」
「ああ。これでも食って脳を活性化させな」
「…いーんすか」
「ええんとちゃう?がんばっとるみたいやし。お前も講師おつかれさん」
「…ども」

「…あたし跡部さんのこと見直したよ。こんな良い人だったなんて…!今度から喧嘩しないようにしよう」
「あんた絶対詐欺とかひっかりそうだよね」

2011/07/08