fiction | ナノ


今日はオフで、何時に起きてもいい日だった。だけど毎日設定しているアラームのせいで、またいつもの時間に起きてしまった。ねむい。そして暑い。朝だというのに、気温は暑く窓も閉めっぱなしだったから、あたしは窓を開けて、シャワーを浴びようと穿いていた寝間着を脱ぎ捨てた

「……ずいぶん大胆な格好ですね」

脱ぎ捨てたものは、ベッドの上に置いた。するとそのベッドから声が聞こえた。誰もいるはずがないベッドの上には、寝起きで眠そうな黒子くんが、起き上がって座っていた。あたしはその声と、黒子くんがいたことにびっくりしてつい大きな声を出してしまった。なんでここにいるの、と真っ先に言おうと思ったけど、よくよく考えてみたら、彼は昨日家に泊まったんだった。だけど隣に寝ていて気づかないなんて、どんだけ影薄いの…。ていうか寝癖すごいな。

そんなことを考えながら、ふと自分の今の姿に気付いた。寝間着を脱いだということは、下着とタンクトップしか着ていないあたしは、とっさに自分の今の格好を隠そうと、布団を手に取ろうとした。(残念ながら、部屋着は黒子くんに取られてしまっている)しかし、なぜか黒子くんはあたしの行動を読んでか、布団を引っ張ってあたしに取らせないようにした

「ちょっと…!布団貸して!」
「だめです」
「恥ずかしいから…!」

あたしは布団を取ろうと、ベッドに上がり、布団を引っ張った。黒子くんもあたしに布団を取らせないように引っ張ってくる。細い腕して力は強いんだから…!

「せっかくの可愛い格好なのに、隠すなんてもったいないです」
「恥ずかしいんだってば!」
「もっと僕に見せてください」
「やだ…!」

すると、さっきより力が増して、あたしはぐん、と布団ごと黒子くんに引っ張られた。黒子くんの腕の中につかまってしまい、布団ごと抱きしめられた。黒子くんの手があたしの肌に当たって、すごく恥ずかしくなった

「…暑いよ……」
「汗かいてますね。シャワー浴びますか?」
「そのつもりで脱いでたんだけど…」
「じゃあ一緒に入りましょう」
「えっいやっちょっと待っ」
「僕も汗かいてて、気持ち悪いんで」

それに、寝癖も直したいです。なんて呑気な黒子くんを余所に終始あわあわとしているあたしは、強引にシャワールームへ連れて行かれてしまった

2012/07/03