fiction | ナノ


「恋愛って、心理学で証明できるって知ってた?」

いつものファーストフードの店で、バニラシェイクを飲んでいる黒子くんの向かいに座る。いつもの出来事。あたしはいつもポテトを食べに店に来てて、たまたま黒子くんと出会ってそれから自然と店に来るのが当たり前になってきた。

本題に戻るが、なぜあたしが恋愛についての心理学どうこう言っているのか。それは外には見せつけかのようにカップルがぞろぞろと道を歩いている。それが虫唾が走るほど気に入らない。なぜなら、彼氏がいないから!言いたくなかった!言って悲しさが増した。

「男と女が吊り橋に乗れば、嫌でも相手を意識するし、危機的状況を一緒に乗り越えたり、助けられたりしたら、相手の見方なんてコロッと変わっちゃう。そんなもんだよ、恋愛なんて。まぼろしだよ」

あたしの女らしからぬ発言にも、黒子くんは微動だにせずじっと聞いている。なにか言われるよりはましたけど、何も言えないほどあたしって終わってるのかな…?いや、バニラシェイクを飲むのに夢中なだけかな。

「……僕はそうは思いません」

やっと喋った。考えてくれてたのかな、いやバニラシェイク飲んでただけか。

「学問だけで、恋愛は語れないと思います」
「どうして?」
「…名前さんみたいに論理的な言葉が出てこないんで、なんとも言えないんですが」

黒子くんは、少しだけ頭を整理するかのようにうーんと唸って、あたしの眼をもう一度見つめた。

「吊り橋にも乗っていないし、危機的状況にも陥ってないですが、僕は名前さんが好きです」
「………………」
「これで、証明できませんか?」

黒子くんの不意打ちに、あたしの今までの恋愛観がもろくも崩されて、何も言えなくなってしまった。

2012/05/29
ということで黒子くん初書き!krkの中では彼が一番好きです!次に赤司くん…(笑)