T.side


「ね、姉さん!?」

ランボの10年後バズーカに当たってしまい、姉さんは白い煙に包まれた。
10年後ランボみたいに、10年後の姉さんが来るんだろうか。

姉さんは10年後に行って大丈夫なのか、心配とは裏腹にドキドキと心臓が鳴った。




「あれ?おかしいなぁ……私談話室でみんなの帰りを待ってたはずなんだけど」

くすくすと笑いながら現れた姉さんは黒い服に包まれていた。
姉さんのトレードマークと言っていいほどのあのお団子頭ではなく、ぴょんぴょんと所々跳ねたショートカットだった。

「10年前に来ちゃったわけか。綱吉もランボ君も若いねぇ」

隣に座っているランボを楽しそうに笑って撫でる姉さんは全てを分かり切っているような、そんな顔だった。

今より大人になった変わらない姉さんだけど、オレの知っている姉さんではない気がした。


「夏実、お前」

リボーンがオレの方から飛び降りて10年後の姉さんを真剣な表情で睨む。
それを受けた姉さんはまだくすくすと笑っていた。

「あまり未来の情報は知らない方がいいわよ、リボーン君。私はこんな風になっちゃったけれど、過去の私はまだどうなるか分からないもの」

にっこりと綺麗な顔で笑顔を崩さない10年後の姉さん。
心臓が嫌な音をあげた。

ランボも察してこの場にいる全員が口を閉ざした。
姉さんは困ったように笑っていた。


何分、何十秒経っただろう。
不意に姉さんが顔をあげてこちらを見た。

「じゃあね、綱吉」

「っ!!待って!姉さ、」

笑いながら手を振る姉さん。
そんな姉さんに手を伸ばしたけれど、白い煙が邪魔をする。

最後に見た姉さんの左手の薬指には銀色の指輪が光っていた。



「ね、姉さん?どうし…」

「ななな何でもない!」

帰ってきた姉さんの顔は真っ赤に染まっていた。
何かあったのか話してはくれずなぜかプンスカと怒って、部屋に帰っていってしまった。



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