不慮の事故


「うわぁああん!!」

いつものようにリボーン君がランボ君を泣かせて、ランボ君が10年バズーカで10年後の自分を呼ぼうとしたのだが……引き金を引いても何の反応もない。

「?」

それを不審に思って10年バズーカを覗き込んだのが悪かった。

ドガァン!!

一般の女の子に至近距離から放たれる弾を避ける術は、ない。



浮遊感を終えた後、バランスを崩した私が倒れ込んでしまったのはやたら高級感が漂うソファの上だった。

「ここ、どこ?」

私は誰?と続いてしまいそうなお決まりの台詞を呟く。

本当にここは10年後なんだろうか。
不安に駆られて周りを見渡す。

どうやらここは10年後の私の部屋という訳ではなく、広い談話室のようなところのようだ。

そしてこの部屋にある扉は一つだけ……10年後のランボ君の話によれば5分経てば元の世界に戻れるようだし、勝手に動き回るのはいいものなのだろうか。


『帰ったぜ、夏実ー』

『ただいま夏実っ!お土産があるわよーん!』

思案していたその時、バンッと乱暴に扉が開かれた。

驚いて扉の向こうに目を向けると、そこにはティアラのようなものを頭に乗せ、目まで隠れている長い前髪の金髪青年とカラフルなモヒカンのサングラスをかけたオカマだった。


「え、えとあの…」

彼らから発せられたのはもう七年も聞いていないイタリア語。
どう反応していいのか。
10年後の私の知り合いであるらしいのだが……

『ん〜?』

『あらぁ?』

彼らは普段の私と違うことに気がつき、私の顔を凝視しながらこちらに近づいてきた。
私は動けなくて座ったまま呆然と彼らを見つめる。

『なんか夏実縮んだ?』

『というか若い、わよねぇ』

金髪青年とオカマさんは同じような黒服に身を包んでいた。
もしかしたらここは仕事場で彼らとは何らかの仕事の仲間なんだろうか。

『あの、あなた方は?』

ソファから立ち上がる。
ここ何年も使っていなかったのであまり自信がなかったが、黙っているよりはマシだろうと口を開いた。

『んふっ!ごめんなさいねぇ。10年前の貴方には初めましてよね。ルッスーリアよ。ルッスって呼んでね、夏実。こっちの金髪の子はベルフェゴールよ』

『特別にベルって呼ばせてやってもいーぜ。しししっ王子やっさしー』

見た目は怖そうな人たちだったが、10年後の私とはかなり仲が良いみたいでフレンドリーに話してくれる。
そのことにホッと胸を撫で下ろして不要だろうが私も自己紹介をすることにした。

『沢田夏実。今は14歳です。あの、10年後の私とはどのような関係なんでしょうか?』

『ふふふ、仲間よ』

仲間と言う言葉に驚いて目を瞬かせていると、また乱暴に扉がバンッと開かれた。


『ゔお゙ぉい!ベル!!またテメェ一般人やりやがったな!』



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