二つのプレゼント

『3―A、沢田夏実。今すぐ応接室に来なよ』

簡潔に用事だけを告げて、ブチッと放送が切れた。
騒がしかった教室が笹川以外は一気に静かになった。

「この放送は雲雀だな!また校内放送を私物化しおって!極限にプンスカだぞっ!」

「あー、ごめんね。私行ってくる」

まだ開いていなかったお弁当を持って立ち上がる。
申し訳なくそう言えば、クラスメイトの女の子たちは焦ったようにフォローを入れた。

「あ、うん!大丈夫だよ、沢田さん。ヒバリさん怒らすといけないしさ」

「私たちのことは気にしないでいいから!行ってきなよ!」

せっかく今から女の子らしくクラスメイトときゃいきゃいしながらお弁当食べようとしてたのに。ぶつぶつと文句を呟きながら応接室までの道のりを急ぐ。



「雲雀、何?」

ノックを形だけしてすぐに部屋に足を踏み入れる。
そこには愉快そうに唇を歪める雲雀が佇むんでいて、机には見覚えのない箱が二つ置かれていた。

「君、誕生日でしょ。あげるよこれ」

「あ、ありがと。ていうかさ、雲雀私の誕生日知……」

「開けてみなよ」

「はいはい……これ、ローファー?」

雲雀の隣に立ち、小さい方の箱を開けるとそこには黒いローファーが入っていた。
だが、それをその瞬間ずしりと重みが襲い、ただのローファーではないことを悟る。

「これ、何よ?」

「二週間前に赤ん坊が持ちかけてきてね」

雲雀が言ったことを簡単にいうと……リボーン君はファミリーの戦力を上げ、雲雀は自己防衛をしろということで、靴底に片方1.5キロの鉄板が入っている靴を武器にしろということらしい。

もう片方の大きい箱にはこれまた重いブーツが入っていた。
これまたローファーと同じく鉄板が仕込んであるようだ。


「……まあ一応貰っとくね。ありがと、雲雀」

きちんと使えと釘を押され、私は好意として一応貰っておくことにした。

「いいよ、別に。で、君からも何かあるでしょ」

ずいっと手を突き出す雲雀。
甘いものが意外に好きらしい雲雀に苦笑しながら、お弁当と一緒に持ってきた箱を差し出す。

「いつもありがと、雲雀!」

笑顔も一緒に付けたら気持ち悪いよって言われたんだけど、こいつこのローファーで蹴ってもいいかな。



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