プロポーズ


「え、えーと……」

道のド真ん中、しかも自宅の前というムードもへったくれもないところで、14歳にしてプロポーズをされてしまった。
冗談なら受け流せるのだが、彼の目は本気そのものだった。

「本気なんだ!君のその透き通るような綺麗な目を見た瞬間、心が奪われちまった!オレの妻になってこれからの生涯を共に過ごしてほしい……!!」

イケメン外国人に歯の浮くような愛の言葉を並べられて、赤面しないやつは女じゃない。
私は真っ赤になってしまった。
間近にある顔をとてもじゃないけど直視出来ないくらいに。


「うぜーぞディーノ」

「ヘブッ」

どこから飛んできたのか、リボーン君がディーノさんの後頭部にドロップキックをかました。
強く握っていた私の肩から彼の手がだらんと外れた。
気絶しているんだろうか…。

「悪いな、ディーノは俺が女の扱い方について再教育しておくからお前ら帰っていいぞ」

「リボーンさんのとこなら安心だな。……夏実ちゃんだっけか。うちのボスが悪いな」

「……いえ」

黒服の人たちの中でも上の立場だろう人が私に声をかけた。
それに煮え切らない気持ちで言葉を返す。

「それと、うちのボスをよろしく頼むな!」

「いや、それはちょっと…」

ぽんぽんと私の肩を叩き、黒服の人たちは一人残らずこの場を後にした。

私はそれをリボーン君と見送ってから、彼に気絶させられ引きずられているディーノさんをちらりと横目で見る。
この人が今日家にいると思うと思わずため息が漏れた。




「なっちゃん、ご飯よー!」

「はーい」

その後、ディーノさんが気絶しているのを良いことにそそくさと自分の部屋に逃げ込んだ。

隣の綱吉の部屋から騒がしい音はしなかったのでひとまずは安心していた。

もう帰ってくれたのかな。
階段を下りて台所へ入ると、彼はそこにいた。


「……夏実!!」

溢れんばかりの笑顔からこれほど目を反らしたいと思うことはもう一生ないだろう。
私は深いため息をこぼした。




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