跳ね馬来たる


「すいません。通して下さい」

いつもより早く風紀の仕事が終わったので、私はまだ明るいうちに帰路に着いていた。
だが、自宅のすぐそばに差し掛かったときに黒服の人相の悪い男の人たちに道を阻まれた。

明らかに裏社会の人だ。
雲雀の周りにも人相が悪くカタギではない輩がたくさんいるがそれとはまた毛色の違った人々だった。

「ダメだ。今は沢田家の人間しか通せないんだ…」

「……沢田夏実ですが」

「なっ!この方がボンゴレ10代目の実姉…!!」

私が名乗ると一斉に男の人たちがざわめいた。
十中八九リボーン君の仕業だろうが、あまり被害がないので気にしないことにしておく。

「では……」

頭を下げて黒服の合間を抜け、家に入ろうとすると、上に大きな陰が出来た。

「?」

「!!」

「あれは!!」

「てめーらふせろ!!」

驚くべきことに、空から金髪外国人さんが降ってきた。
口振りからどうやら黒服の人たちのボスか上の立場の人間のようだ。

彼は私がぽかんとしている間にランボ君が投げたであろう見慣れた手榴弾を安全な空中に投げ出したようだ。
そして次の瞬間、爆発した。

一瞬の間があり、なぜか黒服の人たちは大爆笑していた。

「またボスのやんちゃだな!」

「一日一回はドッキリさせやがる」

「今のはちげーよ!……ん、君は」

金髪イケメン外国人さんは黒服の人たちのボスのようだ。
彼の綺麗な瞳とかち合った。

「……初めまして、沢田夏実です」

「帰ったか、夏実」

不意に上から声がかかった。
部屋の窓からニヒルな笑みのリボーン君と心配そうな顔をした綱吉がこちらを伺っていた。

「リボーン君。この人達は…」

「話は後だぞ。ディーノおまえ今日は泊まってけ」

「………」

彼はディーノというらしい。

なぜかリボーン君の呼びかけに反応しないディーノさんはぴくりとも動かないまま、私の顔を穴の開くほど見つめていた。
私、顔に何か付いてんのかな。

「おい、ボス?」

「黙り込んでどうしたんだ?」

部下の人たちが不審そうにディーノさんに声をかけるが、まったく反応がない。

私は見つめてくる彼にどうしたらいいのか分からず、日本人特有の曖昧な笑みを返した。
そうすると彼は目を見開いて小さな声でぶつぶつ何か呟いていた。


「夏実、だったよな……」

「は、はい?」

やっとこちらに戻った来たらしいディーノさんは私の肩を力強く掴んで、叫んだ。



「オレと結婚してくれ!」



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