体育祭


体育祭当日、準備のある私はいつもより早い時間に家を出た。
もちろんポストを確認するのだけは忘れない。

そういえば家を出る前に母さんは張り切って料理に取りかかろうとしていた。
おそらくリボーン君が母に総大将のことを漏らしたのだろう。

「……綱吉、ドンマイ」

まだ寝ているであろう綱吉に向かって心の中で合掌した。



そして体育祭本番。
スムーズに進んではいたが、リボーン君たちが絡むので絶対に何かあると警戒はしていた。
のだが、リボーン君の方が一枚も二枚も上手だったらしい。

「……棒倒し、A組対B・C合同チームになった」

「随分不服そうだね」

一応暴動もあったので応接室で寝ていた雲雀に報告する。
その内容は総大将の綱吉が命令してB・C組の大将を襲わせたというもの。
そんな馬鹿なことが、と聞いた時には口が塞がらなかった。

「自分の弟がボコボコにされるかもしれないのに、良い顔だなんて出来るはずないでしょ」

むっすりとした顔を隠そうともせずに、革張りのソファに横になっている雲雀に告げる。
雲雀はそんな私が面白かったのか予期せぬ言葉を口にした。

「……A組の総大将は君の弟なんだったね。僕も出るよ」

「はぁ!?」

正気か、この男。
雲雀はそんな私の心境を知ってか知らずかニヒルに笑い、ソファから起き上がった。
そしてすぐ隣の窓枠に足をかけて、軽やかに飛び降りた。

ここ、何階だと思ってんの!
雲雀の行動に驚き、慌てて窓際に走り寄る。

雲雀は無事のようだ。
どうやら木を利用したようで、怪我した様子もない。

「……トンファーは禁止だからね!」

応接室から、精一杯の声援を雲雀の背中に送った。




「綱吉、怪我するなよ」

あいまみえた二人の大将を見つめ、私はなんとも言えない気持ちで勝敗を見守った。

結果はB・C連合の圧勝だったのだが、少しながら綱吉の活躍もあり、なかなか有意義なものになったと私はそう思う。

「暴動も止めないと」

そろそろ見つめているばかりではいけないな。
そう思いながら私は駆け足で、誰もいない応接室を後にした。



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