応接室にて


「この私が部屋を間違えるなんて……最悪」

昼休み、風紀委員兼生徒会室が応接室になったことを忘れて、別棟まで行ってしまっていた。
思わず誰かに見られていないか顔を真っ赤にしながら周囲を見回したのは内緒だ。

もうすぐ応接室となった時、学校に響き渡るような爆発音がすぐ近くの部屋から聞こえた。

「けほっちょっ何?……リ、リボーン君?えっ綱吉?山本君?愛海、獄寺君もなんで」

煙が立ち込める中、応接室から綱吉たちがリボーン君に引っ張られて出てくるのが見えた。
愛海は綺麗な黒髪を遊ばせながら、きらきらした笑顔でリボーン君の横に立っていた。

こちらに気づいたリボーン君は私を見てニヒルに笑うと屋上へと続く階段に消えてしまった。
愛海はその後を追っていったが何度か振り返って憎々しげにこちらを見ていた。



「……雲雀?」

まさか、あの五人は雲雀と会ったのだろうか。
そうしたらあの三人がリボーン君に引っ張られてぐったりしていたことも、イケメン好きな愛海が笑顔でいたことも頷ける。

煤だらけの応接室にひょっこり小さく顔を出すと、極限に機嫌が良い雲雀と目があった。

「やあ、沢田。君の弟と一緒にいた赤ん坊、誰だい?」

予感は的中していた。
雲雀は綱吉を私の弟だと知っていても尚、容赦なく手を下したのだろう。

しかし、自他共に認める戦闘狂である雲雀が気に入るなんて。
……リボーン君、何者なんだろうか。
無関心を決め込んでいたのだがこうも問題を起こされると気にならないわけがない。

「……うちの家に住み込み契約してる、弟の家庭教師だけど」

「ふーん」

私は事実だけをありのままに話した。
雲雀はそれだけで満足したようで、機嫌が良いまま、草壁君に煤にまみれた応接室を掃除するようにと電話をかけていた。

「それから君の弟の幼なじみ」

「!」

「今後あまり僕に近づけないでね。悪寒がする」

「ふ、ふーん……それって」

そこで会話は打ち切られた。
草壁君がお掃除道具を持って応接室にやってきたからだ。



「……あの赤ん坊。また会いたいな」

綺麗になった応接室で、雲雀がうっとりとそう呟いたのだが、私は知らんぷりを決め込んだ。



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