ランボ君


久々の休日、風紀や生徒会の仕事もない、本当の休みの日。
私は手紙を書くために部屋に籠もっていた。

隣の綱吉の部屋から頻繁に聞こえる爆発音や破壊音には、聞こえないふりを実行している。


「やっぱりイタリア語は難しいなー」

話すことは本場に行って直々に教えてもらったこともあり、流暢に話せるのだが、書くとなったら話は別だ。

目的の単語を探すためにパラパラと大きな和伊辞書を捲る。
家庭教師って、イタリア語では何というんだろう。

「なっちゃん!ご飯よー」

「はーい」

コンコンと扉を叩くがして、ペンと辞書を机に置いてから部屋を出る。
そこに母が待っていた。

「あのね、リボーン君のお友達が来てるんだけど、よくケンカしちゃうみたいなの。なっちゃん、お姉さんだから仲裁してあげてね」

困ったように眉を下げてこっそりとそう言うと、母は回覧板を持って出て行った。

なんで私がそんなことを、と思ったが仕方なく私も階段を降りてリビングに向かう。
そこにはいつものメンバーにプラス牛柄の服をきたもじゃもじゃが座っていた。

「なに、これ」

「ね、姉さん!」

綱吉よ、そんな救世主を見るような目で見ないでほしい。

「リボーンとは仲悪いし、オレには手に負えないし、愛海には懐かないし、助けてよー!」

「ランボちゃん!ママさんのパスタおいしーよ?」

「うわぁああん!」

正直、私は子供があまり好きじゃない。すぐ泣くし面倒だし。

でもずっとこの状態じゃ美味しいものも美味しくない。

「ランボ君?だっけ?」

「ふぐっぐすっ」

「そんなに泣くと目、溶けちゃうよ。それに君男の子でしょ」

まだ小さい身体を抱き上げて自分の目線に持ってくる。

「男が簡単に泣くな。そんなんじゃなめられちゃうよ」

男女差別だとかそんなことはどうでもいい。
これは男のプライドの話だ。

こくりとランボ君が涙を拭いて頷いたのでにっこり笑って元の席へと座らせる。
綱吉の隣に座る愛海の目線が痛いのはきっと気のせい。

それから母の美味しいパスタを無言で食べていると、気付けばランボ君が自分自身にバズーカを当てているところだった。

「ランボ君!」

ちょ、何やってんの!?
最近肝を冷やすことが多すぎてそろそろ私本気で心臓爆発するんじゃないかと思う。

ドオンと爆発音がして、白い煙が立ち込めた。




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