山本君


「委員長!中庭で爆発が!!」

「委員長!校庭で爆発が!!」

最近、立て続けに起こる学校ではありえない爆発事件。
それが雲雀がいないときに限って起こるんだから笑えない。


今日も雲雀は並盛町の風紀の為の見回りという名の街角不良のお掃除で学校に来ないようだ。

ちなみに私は朝の校門の立ち番中。

「今日は起こらないといいんだけどなー…」

「何がっすか?」

「……山本君、おはよう」

「おはようございますっ」

いつもの明るい山本君の笑顔のはずなのに違和感がした。
その正体はもう予鈴が鳴ってしまう時間と、彼の右腕のギブスだった。

「その腕……朝練は?」

「夏実先輩、すいません」

困ったような、泣きそうな笑みを浮かべ、山本君は走り去ってしまった。

走ったわけでもないのにドクドクと心臓の鼓動が聞こえる。
そんなに暑いわけでもないのに汗が止まらない。

どうしてだろう。
とてつもなく嫌な予感がする。

予鈴が鳴っても、私はしばらくその場から動けなかった。




一時間目が始まる数分前、大きな音を立てて教室の前の扉が開かれた。
慌てて入ってきた男子、北山がその言葉を息絶え絶えに呟いた瞬間、身体が勝手に動いた。

「一年の山本が、屋上で…」


屋上へと続く階段を全速力で駆け抜けた。
私はなんて馬鹿なんだろう。
なんで止めなかったんだろう。

屋上に入って、野次馬の一年生の人混みをかき分けて前に出て行く。
そこには見知った茶色いつんつん頭があった……弟だ。
隣には愛海も立っていた。

そのフェンスの向こうには、今にも落ちそうな山本君がいた。


「――からオレは山本と違って死ぬほどくやしいとか挫折して死にたいとか……そんなすごいこと思ったことなくて……」

「つな、よし?」

「――どーせ死ぬんだったら死ぬ気になってやっておけばよかったって、こんなことで死ぬのもったいないなって。姉さんみたいに頑張れば良かったって……だから、お前の気持ちはわからない…ごめん……じゃ!」

綱吉が山本君に背を向けて走り出す。

「まてよツナ」

そんな綱吉のシャツを山本君が掴み、咄嗟に綱吉は隣にいた愛海の腕を掴み、バランスを崩し転倒した。
普通ならフェンスがあるので大丈夫なのだが、こちらの屋上のフェンスは古くなっていたらしく、壊れてしまった……。




「ーーーーッ!!」

すべてがスローモーションで目に映る。
手を伸ばしても届かない。


「キャアアアア!!」

「うわああああ!!!」



三人が屋上から落ちていった。



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