生徒会長な彼女


ただいま7時15分。
こうして朝早く家を出て学校に向かうのは、私が並中で生徒会長をしているからなのである。
と言っても風紀委員長の雲雀に牛耳られたこの学校ではあまり仕事は回ってなこないのだが。
生徒会、にはね。


「あっ夏実先輩!おはようございます!」

ニカッと効果音がつくような爽やかな笑顔で野球部の期待のエースは今日も私に挨拶する。
挨拶は人を気持ちよくさせるというがここまでとは……恐るべし爽やか系イケメン。

「おはよう、今日も早いね。山本君」

「はははっ毎日朝練なんで!先輩こそ毎朝こんな早くから大変じゃないっすか?」

そう、私は風紀委員の仕事である朝の立ち番をしている。
挨拶するということを身につけさせるために、校門に立ってみんなに挨拶したり、身嗜みが整っていない生徒を注意するのが目的である。

「ま、仕事だしね。……ほら、向こうで呼んでるよ。朝練頑張ってね、期待のエース君」

「ははっそう言われると頑張らねぇとな!」

グランドに走っていく山本君を手を振って見送る。

その後に続くように校門を抜けていく朝練に参加する生徒に挨拶を開始した。

「おはようございます」

「沢田さんおはよー!」

「あ、おはよう」

「会長おはよう!」

「おはようございます」

さあ今日も張り切って会長として、風紀の活動しましょうか。





「朝、どうだった?」

授業を終えて、昼休み。
友人たちと食事をしてから訪れたのは第三会議室と呼ばれる、別名風紀委員の巣窟だ。

「別に、何にもなかった」

そう言って備え付けのソファにどすんと音を立てて座る。
その様子に眉間に皺を寄せたのはこの部屋の主で風紀委員長、雲雀恭弥その人だ。

「君、それでも女なの」

「一応」

気のない返事をしてダラリと革張りのソファにもたれかかる。
その様子に更に皺を寄せた風紀委員長に気づいた。
すぐ冷や汗をかきながら弁明をする。

「ちょっと待ってよ。ここまで来るのしんどいの。只でさえ別棟にあるし距離だって。しかもお昼食べた後に早足で来たんだからもう少し労ってよ」

他の生徒であったなら、最後まで言わすに彼の愛器トンファーで沈められていただろう。

だが一応私は生徒会長。
一応彼に認めてもらって、しているのだ。
そして友人でもある。




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