▼終始一貫 はじまりと終わりはいつでも等しく巡り廻り元へ繋がるものであると、私は思うのです。それに辿るべき道を見つけ拓く手助けをするのが我々であるとも。 だから私は今日も主人の横で佇んで時を待つのです。 この広すぎる青い部屋を下界と唯一繋げる扉を開いて、やって来る客人を迎えその助けとなりはじめから終わりまでを見届ける為に。 同じ理は幾度となく繰り返され私の存在もそれをなぞり己の行動を繰り返す。 安寧な時が漂う空間。 それがこの青い部屋の住人である私の理。 「ようこそ、ベルベットルームへ」 主が言えばはじまりの合図。 私の仕事も始まるのです。 変わらぬ私の、変わらぬ日々が。 暗がりから姿が此方へ。 とても華奢で透き通った方だと、何故かその時は思いました。 「え?…えっと‥此処は…」 不安げに拙く、見知らぬ現在に小さく震えながら零れた一言。それを見つけた私の心は今、どうなっているのでしょう。 良く、分からないのです。 変わらぬ筈の私の役目。 変わらぬ筈の私の理。 何も変わらない。 筈だったのに。 戸惑い周囲見渡しながら此方へ近づくその少女の真紅の瞳と合致した瞬間。 私の時の針は急速に回り始めたのです。 自家撞着 (これが私の始まりなのでしょうか) |