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「絶対に駄目だと思ったら無茶するなよ!」

「頑張ってね!ルーシャ!」

「ああ、頑張ってくるよ。キルアそんなに心配しなくても大丈夫だって」

「本当に大丈夫なんだろうな……」

「楽しんでくるからさ!」

「楽しむレベルで済めばいいけどな」



□□□□




『本日注目の一戦!!ヒソカ選手VSルーシャ選手です!!』

決戦当日。
ゴンの時と同じく、ヒソカの試合は普段とは観客の密度が比べ物にならない。既に慣れきった男達の叫び声の嵐の中、ゴンとキルアは席に腰を下ろした。

『ヒソカ選手はここまで12戦して9勝3敗と、フロアマスター挑戦権に王手をかけました!果たしてこの試合で、晴れて10勝出来るのでしょうか!!?』

ちょうど実況がヒソカの戦歴について語ったところで、本人がリングへと上がってきた。いつものように戦闘開始位置についたヒソカだったが、様子がいつもと違う。

「なんかヒソカ……いつもより…」

「ああ……いつもより…」

「「興奮してる……」」

彼の纏うオーラは恐ろしく濃密で、周りを侵食するかの如く蠢いていた。ヒソカ自身も興奮で身をよじっている。あまりの気持ち悪さ、そして重圧にゴンとキルア、ついでに前列にいた観客も青ざめた。

「ねぇ…キルア、ルーシャ本当に大丈夫かな……」

何回と繰り返されたやり取りにわかんね、と眉を潜めたキルア。どう足掻いてもどうしようも出来ないもどかしさを感じつつ、不安な面持ちで二人はリングを見つめた。

『さぁそして約半年前、僅か一週間ほどでゴン選手、キルア選手と共に200階クラスまで駆け上がってきた期待の新人、ルーシャ選手です!!先日ギド選手に勝利し一勝を収めております!この闘技場内で数少ない女性闘士です!!』

その声と同時にルーシャはリングへ上がってきた。髪を結い上げている以外はいつもの姿で、背中には日本刀を担いでいる。彼女はゆっくりと開始位置につくと、軽い準備運動で身体をほぐした。
呑気なその動きは、緊張感に包まれる闘技場の中では随分場違いに見えた。ついでにいうと好奇心の塊のようなその目も、リングにはあまり似合わない。
そのまま口の端を持ち上げにい、と笑みを作るルーシャ。悪戯っ子のような表情とは裏腹に、放たれるオーラは凄まじい迫力だった。ヒソカとはまた違うその凛とした強さを表すオーラに、対峙する彼は唇からチロリと舌を覗かせた。

「イイね……ゾクゾクするよ◇」

「気持ち悪。……まあ、今回ばっかりは私も人のこと言えないけど」

肩を竦めたルーシャは審判の声に混じり、小さく呟いた。

『ポイント&KO制!!時間無制限一本勝負!!――――始め!!』

「……楽しませてもらうぜ、ヒソカ」

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