4/4 「200階クラスへようこそ。こちらに登録の署名をお願いいたします」 ヒソカが去った後、三人は受付に向かい200階の選手登録をする。長い説明を聞き終え、ルーシャはすぐに部屋の鍵を受け取った。 参戦申し込みについて尋ねる受付嬢に、「今は結構です…」と弱々しく答えて彼女は早くも部屋へと向かう。相当ヒソカの相手が疲れたらしい。 まだ登録を済ませていない二人を置いてルーシャはさっさと歩を進め、 「あ」 と、ひっそりと後ろに立っていた三人組を見て足を止めた。 義足の男、車椅子の男、片腕の男。 恐らく200階に上がって洗礼を受けた者達だろう。ヒソカが去ってからずっと後ろから着いてきた辺り、念の初心者であるゴンとキルアを狙っているのは明らかだった。 「お前ら、しばらくは戦うなよ。なんか後ろにいるけど、纏を覚えただけで戦ったらたぶん死ぬからな。じゃあおやすみー……」 そう言いながらルーシャはふらふらと危うい足取りで部屋へ向かう廊下へ消えた。後ろの三人を視線でさりげなく牽制することも忘れずに。 「……どうする?ゴン。ルー姉はああ言ってたけど、こいつらお前と同じ日に戦いたいらしいぜ」 ゴンは後ろの三人組を見て、少し考えた後用紙に視線を戻した。 「オレ、いつでもOKです!」 「……言うと思った」 □□□□ 部屋の扉を開ける。 もうとにかく疲れた。 こんな短時間でここまで疲労を感じるのも珍しいぐらいだ。 200階クラスの部屋は流石にレベルが上がるだけあって豪華で広々とした空間だった。その脇にあるいかにもふかふかそうなベッドに私は真っ先に倒れ込んだ。 「はー……」 身体中の力を抜く。 もう直ぐにでも眠りたいのに、さっきヒソカと話していた時に発覚した、私にかけられた念の事を思い出してしまった。 『男嫌い』の念。 こんなことして得する奴など一人としていないはずだが、念の概要をヒソカから聞いたとき、真っ先に頭に思い浮かべた人物が一人、いた。 というかそんなことをする奴はアイツしかいない。 「ったく信じらんねー……やっぱりアイツ異常だ」 何年会っていないだろう。 7…いや8年か。 今までずっと存在を忘れていられたのに、今回のことで無理矢理意識の底から記憶を引き出されてしまった。 生きてるか死んでるかさえも分からないけれど、もう二度と会いたくはないものだ。 「兄貴の野郎……もし生きて私の前に出てきたら顔面潰してやる」 [前] | [次] 戻る |