4/7 第三試合。 ルーシャの相手は、受験生の中でネテロからトップレベルの評価を受け、尚且つ第一試合で圧倒的な強さを見せつけたハンゾー。 ゴンの時ほど戦闘能力の差を感じはしなかったが、やはりルーシャの方が能力が劣っているように見えたのかレオリオは心配そうに声をかける。 「無理だと思ったらすぐ降参しろよ!!」 「さっき頑張れよ!って言ってたのは誰だよ、全く」 「だがよ、相手が相手じゃあねェか!」 「何言ってんだよ、私はむしろ良い相手と当たったと思ってるぞ?」 「何?」 ルーシャの言葉にハンゾーがピクリと眉を跳ね上げた。 「良い勝負出来そうだからな。一番楽しめそう」 「あ゛ぁ?」 ハンゾーの額に青筋が走った。 正面に立つ彼女は女にしては背が高いが、もやしと言ってもいいほど細い。とても戦闘が得意な様には見えなかった。が、彼女は余裕の表情で腕を組み楽しそうに笑っている。 「てめェ確か、今左手が使えないな。ハンデを負いながらそれでも対等に渡り合えると?」 「な!?どういうことだよルーシャ!!」 「四次試験の時にちょっとな。まぁハンデってほどじゃないって」 「怪我人だろうが女だろうが、オレは容赦はしねェからな」 ハンゾーは四次試験で話したときとはまるで違う視線をルーシャに向けた。その目は鋭く僅かに殺気がにじみ出ている。殺気出してどうすんだよ、と思いながらも彼女はそれを軽く受け流した。 「ああ、その方がこっちも助かるし。いいぞ手加減しなくても。てかされたら困る」 「……分かった。本気でやるぜ」 ハンゾーが戦闘に備え構える。ゴンの時とは桁が違う気迫に、レオリオは更に不安にかられて声を漏らした。 「あーああいつ相手を挑発しやがって……!」 「大丈夫だって、ルー姉だし」 「お前はなんでそんなに冷静でいられるんだよ!!」 「それはそうだろう、」 レオリオの焦った声に答えたのはクラピカだった。彼はさも当たり前のように言葉を発する。 「少し考えれば分かることだ」 「始め!!」 審判の声が響くと同時に両者は動いた。クラピカは続ける。 「彼女は三次試験で圧倒的な強さを見せたキルアの格闘の指導者だ。いくら片腕が使えないとはいえ、必然的に――――」 「ぐぁっ!!」 「キルアより強いはず」 クラピカの声が結論を述べるのとハンゾーが吹っ飛んだのは同時だった。 [前] | [次] 戻る |