すべてを見終わった俺達は、誰も声を発する事が出来なかった。



俺達も、戦いに明け暮れて一度(二度三度)死んで甦ってきて、我ながら壮絶な人生だと思っていた。
俺は双子の弟と言う事でサガのスペアとして十五年間生きてきて、悪の道を唆したらスニオン岬の岩牢に閉じ込められ……いろいろあって今度は双子座の聖闘士として死んだはずの兄と対峙し、冥界で敵を道連れに自爆後、アテナのご慈悲によって甦らせてもらったし、愚兄とは喧嘩をする事も多々あるが和解する事も出来た。



アンとエースの人生は海賊王の子供として生まれたせいで、自分達の存在を認めてくれる者も世界中に数えるほどしかおらず…
たとえ悪名だろうと自分達の存在を世界に知らしめるために海賊となって…兄と尊敬する男を自分の目の前で殺されたんだ。





少し……ほんの少しだが、俺と近い部分があるような気がした。

でも、彼の最期を見ると彼の人生は確かに不幸も多かっただろうが、それなりに幸せだったのではないだろうか、とも俺は思うのだ。









「……これが、私の記憶の一部だよ……。アテナ、泣かないで。私もエースも幸せだったし、今は私達を理解してくれる人もいる。
それに、エースは私の中にちゃんといるんだよ。」



アンはそう言って自分の腹の傷に触れた。
そう言えば、あの直後にアンも苦痛に顔を歪めていたが……いつの間にかこの傷痕が出来ていたようだ。

そんなアンは、『これは、エースと私は二人で一人で…、エースは私の中にいるんだって証だと思う』と笑って言った。
これは、エースが死した後にこれ程のハッキリとした傷痕になったのだとアンは言うのだ。




確かに、それを普通の人間が聞いたら、肉親が死んで血迷ったかと思うやも知れんが、アンの世界はこの世界とはまるで違うから、非科学的な事だってあるかも知れん。
しかも、アンからは彼女の小宇宙以外にも違った小宇宙を少しだが感じる時があるのだ。
それに気付いているのは、デスマスクと俺達双子くらいだろうがな。






「アンさん…。貴女の記憶を見て、私は決めましたわ。私達をこちらの世界での貴女の『家族』と思ってください。」

「…私は、鬼の血を引く海賊だよ?」

「それでも。こちらの世界では貴女の出生の秘密など私達以外誰も存じませんし、何よりアンさんが私の姉になってくだされば楽しそうですもの!」



アテナはニコリと微笑みながらアンに向かってそう仰ると、アンは少しだけ泣きそうな顔をしてからそれを堪えるかのようにキュッと口を結び、その場にまず正座をしてから両手の拳を地につけて頭を下げた。



「申し訳ない。元の世界に帰れるまで……お世話になります。」


と、頭を下げたままそう話したアンの瞳に、うっすらと光るものが見えたのは、見なかった振りをする事に決めた。






かくしてアンは、聖域の客人…いや、聖域のメンバーの『家族』となったのだった。





















海賊が聖域にやって来た!




『ありがとう、アテナ。』

『私の事は沙織と呼んでください!お姉様ww』

『お、お姉様って……。』









***反省文***


やってしまいました。
星矢熱があがってる勢いで星矢×ワンピースのコラボまで始めちゃいました。
聖闘士設定のものもあるし、ワンピースの連載も全然進んでないのに……orz
どうしても書きたかったんです!





6/6
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