── 一方その頃、新世界では……




「へ…………ヘッックション!!!!……よい。」

「マルコ、風邪でもひいたのか?」


地図を睨み付けながら探した島に×印を付けていたマルコに、十二番隊隊長のハルタと十六番隊隊長のイゾウが声をかけた。





「あぁ、ハルタとイゾウか。」

「この間は冬島探して今度は春島でしょ。気温の差でやられたんじゃない?」

「ンなわけねェだろ。アンが見つかるまでは風邪なんか引いてる暇はねェよい。」



相変わらず地図から視線を外すことなくそう呟いたマルコは、先日見た夢を思い出していた。
それはアンが目の前で消えてしまった数日後、それまで寝ずに探し回っていた疲労で泥のように眠ったときのことであった。
その夢の中に白ひげが出てきて、アンを探し回っているマルコに彼女のことは心配ないから、この新世界のどこかにあると言われる『次元の狭間』を探すように言われたのだ。
いったいどう言うことなんだと思いつつ、白ひげ海賊団の中でも博識であろうビスタに夢の話をしてみたら、彼も以前どこかの島で『異世界』から来たという人物がいると聞いたことがあったらしく、そこでアンは異世界に行ってしまったのではないかという仮説が浮かんできたのだ。





「異世界、か……。」

「俄かに信じがてェ話だが、実際にアンはマルコの目の前で突然消えちまったってんだからなぁ。」

「でもさぁ、心配ないってどういうことなんだろうね。」

「……夢の中でな、オヤジの後ろにエースの後ろ姿が見えたんだが、その陰にアンが見えた気がしたんだ。」


エース達の背後には、見たことのない石造りの建物と大きな女の石像が見えた。その女の石像は片方の掌の上に頭部のない有翼の女が、もう片方には盾を持っていた。
それを話すと、イゾウもハルタも難しい顔をしていたのだが、その沈黙を破ったのはそれまでいなかったはずのビスタだった。




「ならば、異世界から来たという人物を探し出して、マルコが見た光景を説明してみればいい。そうすればその世界が分かるわけだし、次元の狭間もきっと分かるだろう。」



『なに、アンなら大丈夫さ、白ひげ海賊団二番隊隊長なんだ。』と優雅に紅茶を飲みながらそう笑うと、ハルタもイゾウもそれに同意していた。
マルコもそう思いはしているのだが、ずっと可愛がってきた大事な末の妹なだけにどうしても心配してしまうのだ。





「……そうだねぃ。エースの姿が見えたんなら多少は安心できる。」


マルコは漸く地図から顔を上げると、ビスタが差し出した紅茶を受け取って一息ついたのだった。























***************






─ 再び聖域 ─




デスマスク特製の朝食を食った俺とアンは、俺達の世界についてを聞かれたからそれについてをいろいろと話していた。



「じゃあ、所属していたところは四大勢力の一角だったってことか。」

「そうだね。チラッとだけ説明したかもだけど、オヤジと赤髪、カイドウとビッグマムが四皇って言われてるんだけど、私達はオヤジのところに入ったんだ。」


アンがオヤジのことや仲間達のことを楽しそうに話すと、デスマスクとシュラとアフロディーテはそれに相槌を打って聞いてくれていたんだが、異世界の話を楽しそうに聞いてくれるってのは…って言うか、俺達の話を信じてくれたってのは正直言ってありがてェことだと思う。
俺もアンも、多数の人間から疎まれる存在だっただけに。


だからって訳じゃねェけど、生まれた世界や境遇とかそう言ったものを気にせずに、ポートガス・D・アンに本気で惚れてくれる男がもしこの中にいれば、アンの意思次第では任せてもいいような気がした。







そう簡単には認めねェけど!






ま、敵襲とかもなさそうだし……じっくり観察させてもらうとすっか!
特にカノンとミロとシュラ。あと、違う意味でデスマスクな。
アンを傷付けるようだったら燃えてもらうか…………って、アンも大人しく傷ついてるタマじゃねェからそン時は俺とアンでW火拳でもお見舞いしてやる。
それでも立ってられるようなヤツなら考えてやろうかねェ。





始まったばかりの俺の異世界生活(ある意味第2の人生)
ちっとばかり心配だが、それでも楽しくなりそうだぜ。




















(……でも、カミュとシオンあたりはなんとか立っていられそうな気がするのは俺だけじゃねェはずだ!)









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