「さーて!ここからは大人の時間だぜ。」
「貴様が言うと際限なく卑猥に聞こえるから止めんか、蟹。」
「ひでぇッスよ。」
「アンはアルコールは大丈夫ですか?」
「そりゃあ海賊船にいたんだから大丈夫だよ〜!」
デスマスクとシオン様が話している横でムウがアンに問いかけると、アンは満面の笑顔でそう答えた。
こっちの世界とアンの世界では酒もそう大差は無いようで、彼らは美味そうに酒を飲んでいた。
「アンもいい飲みっぷりじゃねぇか。ほれ、これも飲んでみろよ。」
「ん、このお酒美味しいね!」
「そうだろ!これはイタリアのワインの中でも良く飲まれてるモンなんだぜ?」
「へぇー、そうなんだ。」
アンの横を陣取ったデスマスクが彼女にワインを飲ませている反対側ではエースとアイオロスがハイペースでウゾを飲んでいた。
アルコール度数が高いアレをあんなにガブガブ飲んで平気なのだろうか?
いや、アイオロスが強いのは知っているから良いのだが、エースに関しては未知数なのだ。
それをいきなりあんなペースでは……と思ったのだが杞憂だったようだ。
一緒に飲んでいたミロは酔い潰れて寝てしまったし、アイオロスもいつもより酔いが回っているようだ。
「それにしても、2人とも本当に酒に強いのだな。」
「どうじゃお主達、楽しんでおるか?」
「あ、サガと老師だ。」
「ああ、ここのヤツらも楽しいな!ところで、アンタ本当に200歳越えてんのか?どう見てもおれと同じくらいか下に見えんだけど。」
「ホッホ、本当じゃよ。じゃが、肉体年齢はお主らより若いぞ。なにせ、ぴっちぴちの18歳じゃからのう!」
「………ピ、ピッチピチ……かよ…(汗)」
老師が満面の笑顔でそう告げて笑っている横では、その表現に突っ込む気力すらないのかデスマスクが力無くその単語を反芻していた。
……かつては『神をも欺いた男』と呼ばれたこの俺も、老師に突っ込むのは無理だ。
「私だって、ピチピチさなら童虎に負けてないよ〜!」
声を大にしてそう宣言したアンはいきなり立ち上がり、羽織っていたシャツを脱ぎ捨てて上はビキニ1枚になったのだ!!!!
その突然の行為に部屋中が騒然とした。
「なっ…アン!?なにをするのです!」
「は、はやく上着を羽織ってくれ!」
「女人がそんな大胆に肌を露出するなど……。はやく服を着たまえ。」
ムウとアルデバランはアンに上着を着せようと慌て、シャカは眉間にうっすらと皺を寄せてアンに説教をしようとしていたので一先ず止めた。酒の席で説法など面倒臭くて敵わん。
サガとアイオリアは顔を真っ赤にしていたし、シュラも彼らほどではないがほんの少し赤面しているようだ。
それにしても………サガよ、28のいい大人がそんな初心な反応なぞ気色悪い以外のなにものでもないぞ。
アイオリアに至っては鼻血が出そうになっていたので、こっそりティッシュを渡したのだが……いくらなんでも純情すぎるだろ。
ちなみにカミュは表情を変えずにアンを見ているが、内心かなり動揺しているのだろう。
注ごうとしていた酒がグラスからドボドボ溢れている。
デスマスクはニヤニヤしてアンにちょっかいを出そうとしてエースに燃やされかけた。
危うく焼き蟹になるところだったな。
アフロディーテはアンの海賊の割には白い肌を見て『うん、確かにツヤもハリもあって良いね。』なんてニッコリ笑っていた。
アイオロスは『うん、健康的でいいね!筋肉もしっかり付いてるようだ。』と、やはり筋肉馬鹿らしいコメントをしていた。
そしてミロだが、奴はこの騒ぎの中でもぐっすり寝ていた。
コイツもアンが気に入っているだろうに、残念な奴め。
…………俺か?
俺は……デスマスクのようにニヤニヤするような事などは無かったが、あまりにも突然だったので思わず視線を逸らしてしまったな。
ま、その後はさすがにアイオリアが可哀想だったのでアンが放り投げた上着を羽織らせたらエースに大層感謝された。
今回判った事。
アンには適量のアルコールで止めさせるのが(本人にも周囲にも)良い。
酔っ払いにご注意!
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