「……さて、どこから見ていこうか。」

「うーん、街も見たいけど、こっちの美味しいものも食べてみたいし…………あと、近くに海があるなら海も見たい!」


アンの出した意見に、『アンらしいな』と思い笑みが溢れたのだが、そんな彼女の願いを叶えるべくアテネに向かう事にした俺は、アンを抱えてテレポートした。





アテネに着いてからシンタグマ広場に出たのだが、まずは昼にしよう。


「アン、昼飯だが、この広場の近くのタベルナに…」

「食べちゃダメなの!!?」



少し前に星矢を連れてきた時と同じような反応が返ってきた事に瞠目した。
て言う事は……言葉が通じているから気にしなかったがアンの世界は日本語に近い言語なのだろうか。
だが、それを今考えても仕方ないので、タベルナとは食堂の事だと教えると、安堵した様子を見せた。



「いやービックリした。タベルナってレストランって事なんだね!」

「ったく……人の話は最後まで聞け。」

「アハハッ、まさかこっちに来てまで言われるとは思わなかったなぁ〜。」

「なんだ、そんなに良く言われてたのか?」

「うん。エースも私も良く言われた。拳骨付きで。」




………………。

その光景が容易に想像できてしまい、盛大にため息をついてしまった。
本当に星矢のようだ……って、そんな事を言ってないでサッサと飯を食ってしまおう。




そう思いアンと共にタベルナに入り、食事をしているアンを眺めていながらふと思ったのだが、アンは食べ方が綺麗だ。ちゃんとテーブルマナーも知っているようだったのには驚いた。(食事中に寝るのはこの際無視しよう)




俺はこの世界で実在する海賊に出会った事はないが、商船などを襲撃して金品を強奪するのがこっちの世界での海賊であり、映画や漫画の中の海賊も同じように粗野・粗暴……と言うか凶暴だったり凶悪と言うイメージがある。
アンにその点について違いはあるのか尋ねると、アンは少し考えてからそれについて話し出した。







「うーん、多くの海賊が略奪行為はすると思う。
ただね、違いは対象が商船か敵船かの違いかな。」

「敵船?」

「うん、海賊同士の抗争。やっぱ『生きるか死ぬか』の世界だから、負ければ当然死傷者も多くなるし集めた財宝は奪われる。
あ、白ひげ海賊団はこっちから仕掛ける事はまず無かったし、負かした所でオヤジが敵船の連中を気に入れば傘下にしたり白ひげの仲間にしたりしてたよ。
うちの弟のとこは吸収したり傘下にしたりとか一切してないみたいだけど。」



アンの世界の海賊は、夢やロマンを追い求めて海賊になる者もいればその名を世に知らしめたいと言う野望を抱く者もいるし、様々なのだと言った。
エースもアンも、悪名だろうと何だろうと『名声』を得て自分達の存在を世に認めさせたかったと言う思いから海賊を目指した。
それから弟のルフィと出会って色々な事を経てからは『くい』のないように誰よりも自由に生きてきたのだと笑って言っていた。






「なぁ、弟のルフィに出会って…って、血が繋がった兄弟じゃないのか?」

「あ、言ってなかったっけ?ルフィとは血は繋がってない……はず。あの世界にDがつく人間はごく少数だから何かしら関連はあるのかもだけど。」


そう言い置いてから話し始めたのだが、その内容はやはりこの世界とは違うのだと言う事を如実に語っているものだった。
海賊王ゴール・D・ロジャーの血を引くアン達を20ヶ月もその胎内に匿っていた母はアン達を産み、海軍でありながらも父親と交遊関係を築いていたガープに、子供の名を伝えると力尽き、ガープは彼らを自らの孫として自分の故郷に連れ帰った。
そして、山賊の一味に預けられるのだが、アン達が10歳になる頃、そこにガープの実の孫のルフィが連れてこられて、様々な事があったがルフィとも打ち解けて、アン達3人と『コルボ山』で知り合ったサボと言う名の少年の4人は兄弟の盃を交わして義兄弟となったのだそうだ。








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