アン曰く、シャワーや雨などの流動的なものなら大丈夫なのだが、海や風呂、川もNGなんだそうだ。



「なんと!風呂に入れぬとは……っ!」

「まったくだよ。私もお風呂大好きだったのに。でも、誰かと一緒に入れば湯船の中では力が抜けちゃうけど、上がる時に引き上げてもらえるから入れない事はなかったよ。
良くうちの船のナースさんと一緒に入ったなぁ、でもナースさん達みんなナイスバディだから、最初のうちはちょっと凹んだ。」


アンはサラッと話していたが、周囲を見回すと皆一様に赤面していたり想像してニヤけた面をしている。
……サガはアンが風呂に入れない事に衝撃を受け、同じ風呂好きと言う事に多少の喜びを見出だしているようだが。
アルデバランや老師、アフロディーテは、『好きな風呂に一人でゆっくりと入れなくなって残念だな』なんてアンに声を掛けている。
ムウは素知らぬ顔をしているのだが、内心はどうだか分からんし、シャカやアイオロス、シオン様もまた然り。
デスマスクとミロは鼻の下を伸ばしてニヤニヤとしているし、シュラとカミュは顔を少し赤らめている。
アイオリアはそれ以上に真っ赤になっている。
……俺は、正直に言えばまぁ想像はしたが、奴らほどニヤけた面はしていない。
しかし、アンは自分で言うほどスタイルは悪くないと思うが、それほどそのナースがスタイルが良かったのだろうか?







「ならお姉様、今日は私と共に入浴なさいませんか?」

「ア、アテナ!?」

「良いけど、大変だよ?」

「ええ、それでも。私、女神と言う立場からあまり同性のお友達がいないので、一度こう言う事をしてみたかったのです。」

「うん、そう言う事なら喜んでご一緒させてもらうね!」


二人でキャイキャイ盛り上がっているのを眺めながら、やはりアテナと言っても年頃の少女なのだと実感する。
確かに聖域は男社会で、数少ない女もアテナと同世代の女はあまりいない。
いや、いたとしても女神と同席するなど、聖域でずっと過ごしてきた者には無理な話だろう。
それに、アテナには『グラード財団総帥・城戸沙織』としての肩書きもあるがそちらも周辺は成人した男ばかりだし、大企業のトップと言う立場からやはり同年代の女などいない。
……まぁ、企業だから当然の話なのだが。

そこに、年上とは言え自分を『女神アテナ』『大企業の総帥』として扱わず一個人として接するアンの存在は本当に嬉しいのだろう。


















「では、私は仕事がありますので、また夕方に。」

「了解、頑張ってね沙織。」


アンにそう言われてアテナは嬉しそうに微笑むと、辰巳を連れて食堂を出ていった。
今日の執務を担当している連中(サガ・老師・ムウ・アルデバラン・デスマスク・ミロ・アフロディーテ)も名残惜しそうにしつつ執務室に戻っていった。
食堂に残ったのは俺とアイオリア、アイオロス、そしてシュラとカミュ、シオン様。
全員がアンの事が気になって仕方ない様子だ。





「仕事かぁ。私は職業海賊だからなぁ〜。」

「アンよ、海賊と言うのは……やはり略奪などをするものなのか?」

「あ、こっちでもやっぱ海賊っているうえにそう言うイメージがあるんだね。」

「まぁ、こちらの世界にも海賊はいるし、良いイメージは無いな。」



シオン様の言葉に、アンはポリポリと頬を掻きながら『やっぱりなぁ』と苦笑していた。
アンのいた白ひげ海賊団は自分達に無謀にも戦いを挑んでくる敵船から奪うくらいで、一般人に危害を加えるような真似はしなかったそうだ。
アンの弟が船長をしている『麦わらの一味』は結果的に人助けもしてしまっているらしい。
一言で『海賊』と言っても多種多様でなんだと言うのが分かった。






「さっきは蟹に話の腰を折られたが、アンの世界には様々な場所があるのだな。」

「うん、私は空島には行った事がないけど、弟は行ったって言ってた。
連れていけるなら案内してあげたいくらいだよ!
ところで、みんなはこの地上を守る戦士なんだよね?って事は、みんなも何か必殺技とか持っていたりするの?」

「うむ、あるぞ。各々が日々鍛練し習得した技だ。
ここにいるシュラは聖剣エクスカリバーをその身に宿していて、彼の手刀はいかなるものも切り裂く。
カミュは『水と氷の魔術師』の異名を持っていてな、その名の通り小宇宙を高める事により、氷の技を使うのだ。」


シオン様が説明をし、それにアイオロスが『彼のフリージングコフィン』は我ら黄金聖闘士が数人がかりでないとその氷をどうにかする事が出来ないのだ、と付け加えた。
…星矢達がサガの乱の際に奇跡を起こしどうにかした事は黙っておこう。








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