「人魚だって!?アン!人魚って美人か!?美人なのか!?」


アンの発した言葉に真っ先に食い付いたのは、 当 然 デスマスクだった。
まぁ……俺もほんの少し気にはなったがな。海界には人魚姫のテティスもいる事だし(無理な言い訳)










「う、うん。人魚の子は
可愛かったよ。」


デスマスクの勢いに少々引きつつもそう素直に答えるアンだったのだが、そこに突然星屑が煌めいた。




「蟹!恥を知りなさい!!スターライトエクスティンクション!!

あじゃぱぁー!!



ムウがデスマスクを攻撃すると、奴の姿がこの場から消え去った。
初めて見るこちらの技にただでさえ大きな目を見開いて呆然としていた。
そんなアンに構わず、ムウがアンの頭を撫でながら謝った。



「アン……申し訳ありません。が失礼しましたね。」

「あ、うん…大丈夫。海賊船にいたからこれくらいどうって事ないよ。
それにしても、その技…」


アンはムウに大丈夫だと告げてから、突如目をキラキラと輝かせてムウにズイッと近寄った。
その勢いに今度はムウが一歩引いた。



「すっげー!!!何あの技!?人の体が消えるなんて手品みたいだ!」

「手品…ですか?」

「うん、私の技って炎だから生々しいじゃん?」


た、確かに…炎に焼かれるってのは生々しいが、それ以前にいくら自らが炎になるとは言え、アン自身が炎に包まれている様も充分生々しかった、とは言えない。
そして、そんな事を考えたのはどうやら俺だけではなかったようで、その場にいた全員が若干青ざめていたのは言うまでもない。










「と、ところでムウよ。蟹をどこに飛ばしたのだ?」


シオン様がムウに尋ねると、教皇宮の端に飛ばしただけだと言った。
そう言えば、ムウの意思で飛ばす先が変えられるんだったな、この技は。
俺達の技は異次元に送ってしまうのだが……

















待てよ?


異次元に飛ばす、と言うのはアンを元の世界に戻すきっかけになるのではないのだろうか?
あるいは、スターライトエクスティンクションでアンの世界に飛ばすとか…。


俺はサガに小宇宙で自分の考えを伝えると、サガも一瞬それを考えた、と言ったのだが否定されたのだった。




『私もそれは考えた。だが、私達の技では異次元と言うだけでアンの世界に繋がっているとも限らん。』

『そ、そうか…。』

『アンが異次元でさ迷ってしまっては本末転倒。そんな危険のある技はたとえアンが許可を出してもアテナが許さんだろう。』



サガの言う事は尤もだ。
アンが元の世界に辿り着けなければ意味がない。
それに、アンに何かあったら彼女にあっという間に心をお許しになったアテナの制裁が待っているだろうが……そ、それだけは避けたい。
ニケで滅多打ちにされるのはキツいぞ。







「ねぇカノン。さっきからサガと話してるのってテレパシーなの?」

「…!!お前まさか、小宇宙を通じて会話してるのが分かるのか!?」

「いや、何か二人がボソボソ話してるっぽいのは雰囲気で分かった。」

「アンは小宇宙に似た『覇気』と言うものを使うのですから、基本さえ分かれば小宇宙で会話をする事ができそうですね。」


アンはムウから小宇宙通信について聞くと、ハーフパンツの裾についているポーチをガサゴソと漁りだして、その中から何やら取り出したのだが、そんなアンの掌には大ぶりな蝸牛が乗っているではないか!





「な、何なんだそのデカい蝸牛は!?ありえねぇだろ!!」


あ、蟹…もといデスマスクが戻ってきたみたいだな。
部屋に入った瞬間、アンの掌の上にいる蝸牛にツッコミを入れていた。
確かにあり得ない点がいくつかある。
デカさはさることながら、特に目を引いたのは口のサイズだった。
人間みたいな唇がついてるってなんだよ!








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