それからみんなで食事……………と言う名の戦争を繰り広げて(この家の男はみんな異常な程食べるからうかうかしてると食いっぱぐれる)、食後にケーキとクレアが淹れてくれた美味いコーヒーを堪能してから、順次風呂に入って………何故か客間で雑魚寝をする事になった。


ルフィとじいちゃんとクレアがさっさと眠りについてしまって(この一族は食事中にも寝るからな…)俺とエースは、寝ている3人を踏まないように歩いてベランダに出た。
さすがにまだ3月だから昼間は暖かくても夜になると冷え込むな……。
ブルリと一度身を震わせた俺は、羽織っていたフリースのファスナーを上げた。
少しの間、無言で空を見つめていた俺達だったけど、そんな沈黙を破ったのは俺の方だった。









「エース。」

「あ?」

「今日はありがとな。」




俺がそう言うと、一瞬呆気にとられたような顔をしてから、少しだけ頬を赤くして『いや…礼ならクレアに言えよ』と照れ臭そうにそう答えた。
エースが言うには、今回の企画も大量の料理とケーキを作ったのもクレアだそうだ。





「まぁ、俺も少しくらいは手伝ったけどな。」

「ルフィは?」

「アイツは隠し事出来ないからな。今日はご馳走だからウソップんとこに行った帰りに、サボを迎えに行けって指令を与えて、帰ってきてからサボの誕生会だって教えた。」



エースは苦笑しながら教えてくれた。
たしかにルフィはウソをつくのが下手だ………と、言うよりも恐ろしく下手すぎるんだ。クレア達の判断は的確とも言えよう。





「クレアってさ、本当に…気がきくっつーか…優しいよな……。」

「あぁ。………これ以上惚れるなよ?」



ニヤリと笑ってそんな事を言ったエースに、思わず目を見開いてしまった。



「俺が気付いてないとでも思ったのか?何年一緒に過ごしてると思ってんだよ、兄弟。」

「…そりゃそうだな。いつから気付いてたんだよ。」

「そうだなぁ…俺がクレアに告白する前から気付いてたさ。…知ってても、譲れねェって思った。お前も、俺に遠慮して諦めるとか……止めろよな。」



俺くらいのライバルがいねェと張り合いがねェからな、とエースは苦笑しながらそう続けた。
それを聞いた俺は、なぜか気持ちが軽くなった。本当に、理由は分からないけれど………。
と、同時にフワリと浮き上がってきたのは、無理やり押さえつけていたクレアに対する気持ち。
これからは…無理して押さえつけなくてもいいんだな…とは言っても、俺の事だからきっとガンガン押す事なんてできないんだけど。
クレアが本当にエースの事が好きだっていうのは見ててよく分かるし、俺の事を『兄弟』として見ているって事くらい分かっているから。




「なぁエース、もし、お前がクレアを泣かすような事があったら…俺が奪ってやるからな。」


さっきのエースと同じようにニヤリと笑ってそう告げると、エースもまた同じように笑って『望むところだ』と続けた。
エースがクレアを泣かすような真似をするとは到底思えねェけど、まだチャンスがゼロになった訳じゃねェって思ってもいいだろ?








「……これからもよろしく頼むぜ、兄弟。」

「おぅ。」


俺達は互いに拳をゴツンと合わせて笑いあってから、こっそりと拝借してきた缶ビールを一口啜った。
















当然、それがじいちゃんにバレて、翌朝俺とエースの頭頂部には特大のたんこぶができていた。
そしてそれを見て楽しそうに笑うルフィと、困ったように苦笑しているクレアの姿を見て、妙にほっこりした気持ちになっていた俺だった。















Birthday of supremacy.







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