今日は17時まで本屋のバイトが入っているから、バイトが終わったら通り道にあるケーキ屋にでも寄って手土産を買ってから行こうかな……なんてプランを立てていると、またクレアからメールが届いた。





「…今日は手土産とか買ってこなくていいからね、うちにお菓子あるから…ってタイミングいいなぁ(笑)」


俺がちょうど思っていたタイミングで同じ事を考えたクレアに、つい自然と頬が緩むのを感じた。
こう付き合いが長いと、お互いが考えてる事が分かるもんなんだな。


………って、そろそろ支度しないとバイトの時間に遅れるな…。
携帯の時計を見て時間を確認すると、必要な荷物を持って部屋を後にした。


























俺のバイト先である本屋はマニアックな本を多く取り扱う店だからか客がまばらで、しかも店長であるレイリーさんの融通も利くと言う事もあって、客がいない時には本を読ませてもらえるんだ。
今日もそんなに忙しくはなかったから、レジ番をしながら読みかけの推理小説を読ませてもらっていた。









「サボ、今日はもうあがっていいぞ。」


ちょうど読み終わったところで、外の掃除をしていたレイリーさんがレジにいる俺に向かってそう声を掛けてくれた。
でも、あがりの時間まであと15分くらいあるんだけど…と思っていたら、レイリーさんの後ろからヒョッコリとルフィが顔を出した。




「ルフィ!」

「サボ。迎えに来たぞ!」

「外にいたらルフィが見えたからな。この子がここに来るのはだいたいサボを迎えに来る時だからね、声を掛けたんだ。」




レイリーさんは笑いながらそう言って、ルフィの頭を撫でた。
ルフィも『しししっ!ボサボサになっちまうよ〜』なんて言いながらも、大人しくされるがままになっているようだ。





「ルフィ、今日はどうしたんだ?」

「さっきまでウソップと遊んでたんだ!サボ、今日はメシ食いに来るんだろ?一緒に帰ろう!」



バイト中にしていたエプロンを外して、ルフィの側に歩み寄った俺をレイリーさんが引き留めた。
レイリーさんは店の奥に入ってから紙袋を1つ持ってきて、それをルフィに差し出したんだ。



「?」

「クレアに頼まれていたものだ。渡してもらえれば分かる。」


ニッコリと笑ってレイリーさんはそれを差し出すと、ルフィは『分かった!』と力強く頷くとそれを受け取った。
そして、クルリと俺に向き直った直後、空いている左手で俺の手を掴んで、スタスタと歩き出すもんだ。
急に引っ張られて前のめりになりながらレイリーさんに振り返って『お先に失礼します』と挨拶してルフィの横に並んだ。









「なぁなぁ、今日のメシは何だろうな〜?」

「そうだなぁ、まぁルフィの好きな肉料理は一品くらいあるんじゃないのか?」

「肉──っ!」


肉、と聞いた途端に満面の笑顔を浮かべたルフィは、繋いだままの俺の手をブンブンと振ってご機嫌だ。
しかも何か変な歌まで歌ってるし。






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