「おまえら………ありがとうっ!!」
2人からのプレゼントに不覚にも涙ぐんでしまった俺は、それをルフィにからかわれて、おもわず拳骨を喰らわせてしまった…。
………………まぁ、からかうルフィが悪いって事で良しとしよう!!
その後、俺とルフィの2人でクレア特製の特大ケーキを平らげつつ大騒ぎをして、気付いたら新年を迎えてから1時間以上が過ぎていた。
「こらルフィ、眠いんなら部屋で寝なよ?」
「ん。おやすみ…」
さすがに眠くなったようでルフィがフラフラと自室に戻って行くのを、『おやすみ』と返しながら俺とクレアは見送った。
「クレア。」
テーブルの上を片付けていたクレアを手招きして呼び寄せた。
クレアは俺が言わなくても分かっているようで、自然に俺の隣に座り、俺が肩に腕を回してグッと引き寄せれば、俺の肩にコトリと頭を預けた。
「改めて、プレゼントありがとうな。」
「どういたしまして。喜んで貰えたみたいで何よりだよ。エースがいずれ海に出る時にでも被ってもらえれば嬉しいな。」
「当然だろ。ダメだっつっても持って出るさ。」
ニヤッと笑ってクレアに軽いキスをすれば、クレアもクスリと笑ってそれを返してくれる。
そうして触れるだけのキスを繰り返していたが、いつの間にかそれは深いものに変わっていて、そう広くはないリビングに互いの唾液が混ざる湿った音と、クレアが発する甘い吐息だけが響いていて、それが余計に俺を燃え上がらせた。
このままだとリビングでクレアを襲っちまいそうだと判断した俺は、もっとこうしていたいと思う気持ちを一度抑え込んで、クレアの唇を解放した。
離したクレアの唇は唾液で濡れていて、何となくエロい雰囲気を醸し出していた。
「………なぁ、俺さ、もう1つ欲しいモンがあんだけど、聞いてくれるか?」
「……なに?」
「クレアが欲しいんだけど…ダメか?」
「…………いつもあげてんじゃん。」
「ばっ、そう言う意味じゃなくて…って、それもあるんだけど……」
「あるんかい。」
「茶化すなって。要するに……その…、おまえの人生を丸ごともらいてぇんだ。そりゃあ17になったら…来年の今日、俺は海賊になるために海に出るけど、いつか……その時にクレアがルフィと海賊になっていても、必ず迎えに来る。」
だから、おまえを嫁にする予約、させてくれ。
それが今、俺が一番欲しいプレゼントだ。
俺がクレアの目を見てそう伝えると、嬉しそうに笑ったクレアの綺麗な金の瞳から一滴の涙が零れ落ちた。
それからゆっくりと頷いてくれたんだ。
「……!!!」
「エースが迎えに来てくれるの待ってる。」
そう言ったクレアの顔が、今まで見た事がないくらいに幸せそうな笑顔で…何よりも、俺の存在理由を示してくれてるみたいで、俺も嬉しかった。
と同時に、さっきの続きがしたくなって、クレアを抱き上げた俺はいそいそとクレアの部屋にしけ込んだ。
あれから4年。
俺がフーシャ村を旅立ってから、ちょうど3年が過ぎた。
ルフィとクレアは今年、いよいよ海に出るんだ。
「今日の主役が何をボーッとしてるんだよぃ。」
「…マルコか。」
モビー・ディック号の、俺の特等席であの日の事を思い出していると、ジョッキを持ったマルコが後ろに立っていた。
「もしかして故郷にいる弟達の事かよぃ。」
「ああ、ルフィも今年で17になるからなぁ。クレアと一緒に、いよいよ海に出るんだ…。」
「クレア?」
「あれ、話した事無かったか。クレアはルフィの姉貴なんだ。」
「じゃあおまえの妹だろうが。」
回りくどい言い回しするんじゃねぇよぃ、って俺の頭を、ほんの少しの覇気を込めてパシンと叩いてからマルコは宴の輪の中に戻って行った。
去り際に『おまえは今日の主役なんだからそろそろ戻ってこい』と付け加えて。
それに軽く手を挙げて返事をしてから、再び海の彼方に想いを馳せる。
私の人生をエースにあげるんだから、浮気なんかしたらメガフレアで消し炭にしてあげる。
あの夜、クレアを抱いた後、俺の腕の中でクレアが言った言葉。
まったく…とんでもねぇじゃじゃ馬に惚れちまったもんだよな、俺も。
クレア、万が一どこかで遭遇したら(いろんな意味で)覚悟しとけよ。
「おーい、エース!早くこっち来いよ!!!」
「主役だろーが!」
「隊長!まだまだ食事出てきますよー!!」
「おぅ!今行く!!」
クレア、ルフィ。
元気にしてるか?
俺は今、新しく出来た『家族』と共に楽しくやってるぜ。
いつかおまえ達を、親父をはじめとした仲間達に紹介してぇな。
必ず迎えに行くから、待ってろよ。
間違っても、ジジィ達には捕まるんじゃねぇぞ。
再会の日は、案外遠くないのを、この時の俺は知らなかった。
end
<< Back
NovelTop