ACE SIDE






ジジィが『弟と妹になる』と言って連れてきた2人…ルフィとクレア。



おれには弟妹なんかいらねぇし、第一『鬼』の血を引くこんなおれを必要とするヤツはいねぇだろう。






でも…、クレアって方は…
なんか知らねぇけど、気になった。

ルフィってのはバカみてぇに何も考えてなさそうだけど、クレアは……ほんの少しだけど、おれと似たような空気を纏っていて気になった。
















黒い髪に…金色の目。

弟は黒なのに。













それにアイツ…おれがルフィに唾を吐いたら、一瞬だけどスゲェ殺気を纏った。



こんなガキよりも(っておれもガキだけど)よっぽど大人で強いはずのダダン達よりも、かなり強い…それこそ立っていられないようなまでの殺気。







アイツはいったい何者なんだろう………




それはおれの中で、初めて女に、しかも他人に興味が湧いた瞬間だった。

















飯も食い終わって、サボの待つグレイターミナルに向かおうと家を出ると、ルフィがおれの後を着いてこようとしていた。
そしてその後ろをクレアがのんびり歩いていた。




ルフィ達となれ合う気もなかったおれはしつこく『遊ぼう』と言ってくるルフィに警告の意味を込めて、近くの木を蹴り倒した。


おれの思惑通り、ルフィに向かって転がっていく木を一瞥してから背を向けて歩き出そうとした。














その時。






『危ないっ!!!』


と、クレアが叫ぶと同時に『ゴウッ!』と言う音が聞こえて振り返ると、世間的に見たら可愛い部類に入るであろうクレアがルフィの前に立ちはだかり、おれが蹴り倒した木に向かって、口から炎を吐き出すと言う信じられない光景が目に入った。



その時おれの頭の中に、アイツは『悪魔の実』の能力者なのかもしれない、という考えが過った。









おれの視線に気付いたクレアは、ルフィを守りながらも怒りだったり悲しみだったりが混ざったような…諦めにも似た表情をしていた。




その目を見ているのが辛くなったおれは慌てて先を急ぐことにした。



















なんなんだ…!



アイツはどうしてこうもおれの心の中に入ってくるんだ!?



ルフィのしつこさもそうだけど、アイツの目がおれは気になって仕方なかった。



















吊り橋の上で立ち止まって後ろを振り返ったちょうどその時、またルフィが懲りずにおれを追いかけてきていた。
















いい加減にしろ…。

おれに構うな!











おれは手に持っていた鉄パイプでルフィを弾き飛ばすと、アイツはバランスを崩して、橋から足を踏み外して谷底に向かって落ち始めた。
すると、後ろにいたクレアがとっさに橋から飛び降りていた。









「ルフィ!!!」



何の躊躇いもなくルフィを助けようと飛び込んだクレアを見るために谷底に視線を向けると、クレアの姿はなく、ルフィよりも一回りほど大きな黒い龍がルフィめがけて飛んでいた。

その龍はルフィを右腕でキャッチすると、コウモリのような大きな翼をバサリと羽ばたかせてからチラリとこっちに目線を送った。













その目の色は金色で、アイツと同じような少し悲しそうな眼をしていた…。





















やっぱりあの龍はクレアだった。


クレアはドラゴンに変身できる『悪魔の実』を食べたんだ、という事がわかったけど、不思議と『化け物』だとは思わなかった。




逆に、スゲェ強そうでカッコよくて、それでいて綺麗だと思った。


















おれ、クレアにすげぇ興味を持っている事に自分で気づいた。
だけどその時のおれには、それがどんな気持ちだったのかはわからなかった。
ただ、アイツのあの目を見ると心臓がドクリと音を立てるのだけは分かっていた…。








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