「やっぱり見たんだ。……にしても、姉弟揃って悪魔の実の能力者になっちゃうなんてねぇ。
…私の目が金色になったのも、この能力を手に入れた時だった。
ある日突然、瞳の色が変わった私を村のごく一部の人は気味悪がった。
でも、この能力のお陰で私はルフィとか大事な人達を守ることができる。
だから平気だよ。それに、ルフィとシャンクス達は、バハムートの姿も気に入ってくれてるし。」
クレアは俯きながら、ゆっくりと話した。
本当は少しくらい傷ついてるはずなのに、それを隠そうとしてるんだろうな。
「…おれは、もっと近くで見たいぞ。」
「……………え?」
おれの発言にたっぷり間を空けてから一言発したクレアは、かなり間抜け面をしていた。
「ぷははっ、なんて面してんだよ。」
「だって、すすんでバケモノ見たいなんて……」
「バケモノなんかじゃねェだろ。クレアはクレアなんだからよ。いいから見せろってんだよ!」
おれの少し強引な態度に、クレアは『知らないよ?』と前置きしてから、立ち上がると、一瞬にしてバハムートに変身した。
闇と同じ色をしたその体は月の光を浴びて輝いているようにも見えた。
おれはそっとその皮膚に触れてみると、少しだけヒンヤリとはしてるけど、おれにとってはすげぇさわり心地が良く感じたんだ。
「……すげぇ、なんかカッコいいよな。」
「……怖くないの?」
「怖いどころか、気に入った。キレイだしさ、おれ…その金色の目もけっこう好きだぜ?」
おれにしては珍しく、思った事を素直に伝える。
なんだかコイツには隠し事出来なさそうだしする気にもならないのは、おれがクレアを好きだって気付いてしまったから。
10歳で、とは思うけどコイツを異性として好きなんだってのを理解してたんだ。
「…ありがとう。」
「べ、別に礼を言われるような事してねェよ。」
「うん。……でも、なんとなく言いたかった。」
「…そうか。つーか、空飛べるんだろ?どんな気分なんだ?」
「うーん、飛んだのってあの時ルフィを助ける時だけなんだよね……」
龍の姿のまま話すクレアは、『あんまり高くまでは飛べないけど、エース乗る?』なんて聞いてきたから、断る理由もないおれは即座に頷くと、クレアの背に乗って空中散歩に出掛けた。
正直言って、めちゃくちゃ楽しかった!!
ついでに、何となくだけどクレアとの距離が縮まった気もした。
次の日に、実は起きていたサボに、何してたのか軽く探りを入れられたのは言うまでもない。
Act:02 End