「これどうやって服用するの?」

「……ハ?」

「いや、だから。どうやって飲むの?噛み砕けばいいの?」

「噛み砕いたら意味ないから」

「そうなんだ」

「錠剤飲んだことねえの」

「うん、ない。というか、薬というものを飲んだことがない」

呆れたようにああそう、と呟くと、彼女はムッとしたように眉をひそめた。健康なのは悪いこと?なんて言い出しそうだ。
正しい服用方法を教えると、ふーん、と言って口に白いそれを運ぶ。上下運動を繰り返す彼女の喉を無意識に見つめてしまう。色っぽい動きをするなァ、なんて。

「あほん、あほん」

「どうした」

「こりぇ、飲み込めない」

初めて錠剤飲むんだから、すんなり飲めないのもまあ納得するが……しかしアレだ。口内に錠剤を含んだままだからなんだろうが、少し舌ったらずになった声が妙に耳にこびりつく。

「……口移しでなら飲めるか?」

「口移しなんて頼んでない」

「そう頼んでるように聞こえた」

「うわ。阿近やらひー」

「別に俺が特別やらしいって訳じゃねえよ。男なんてみんなこんなモン」

「ほんなもん?」

「そんなもん。今だって、なまえちゃんの喉の動きとか、舌ったらずの声とかにすげえ欲情してる」

そう言って彼女の耳許に唇を近付ける。あつい、って言ってやったら、熱のせいだって言い切るんだろう。

「薬、液体にしてくる」

「わーい、阿近大好き」

「ハイハイドーモ」




そこが宇宙の端っこなら




*****
あるサイトさんのお話を読んでからというもの阿近さんが大好きになりました。
阿近さんは淡白に優しいと思います。そんでもって表には出さないけど、彼女が大好きすぎてどうしようもなければいい。

タイトル、Que sera sera

101021
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