「凄い熱いね、真子くん」 「なにがや」 「この体勢、汗かきそう」 雑誌を読む私の背中を包むように座る真子くん。少し離れた場所にいるひよ里ちゃんが凄い形相で睨みつけてくるのが痛いくらいにわかる。 「あっつくるしいな!」 「なら、見んなや」 「嫌でも目に入ってくるんや!」 外行け!と怒鳴るひよ里ちゃん。めんどくさそうに返事を返す真子くん。仲良いね、なんて思いながら雑誌の続きを読む。 「くたばれ!ハゲ真子!」 「ドブに落ちろ、ひよ里」 「なんやと!?」 熱さのせいでカルシウムが足りなくなってるのかひよ里ちゃんの怒りが最高潮に達した。見てて面白い、なんて死んでもいえないなあ。 「ひよ里ちゃん、落ち着いて‥」 「落ち着いてられるか、ボケ!」 そりゃあ私の頭の上で変な顔してる真子くんに腹が立ってるのはよーく、わかる。同意する。でもなにもそこまで怒ることはないと思う。 「真子くん、離れて」 「いやじゃ、誰が離れるかボケ」 「脱水症状で倒れちゃうよ」 抵抗したらさっきよりもっと強く抱きしめられて(しかもどさくさに紛れて変な所触ってるし‥)どうしたらいいかわからなくなった。 「いい加減、怒るよ」 「ハゲか」 「馬鹿真子、ハゲろ」 「ひよ里!お前の影響でこの子口悪くなってるやんけ!」 「知るか、ハゲ真子!」 少し熱さにイライラしながらページをめくる。星占いがあったから流し読みしてると今日の運勢があった。 ─今日は大切な人から離れないで!きっとその人がどれだけ貴方の必要な存在か思い知らされるでしょう。熱さに負けないで! 少し、笑ってしまった。合ってるなあと思いながらページをめくろうとしたら星占いのページに折り目が有るのを気づいた。もしかして、真子くんこのページ見たのかな、なんて少しながら愛を感じた。 離さないでいてほしい ◎憂様へ 相互記念作品 100910 |