「フルートって、何楽器なの?」 急に同じクラスの泉孝介は何を言っているのだろうか?初めて話した。だから、最初私に向かって話しているのかもわからなくて、でも、目が合うから私でいいんだ。 「何楽器‥‥も、木管?」 「でも、木で出来てる訳じゃないよな?」 「うん。けど、木のもあるよ。ピッコロは木だし」 「‥‥ドラゴンボール?」 「ピッコロって楽器があって‥‥フルートが小さくなったみたいなヤツなんだけど。だからナメック星人じゃない」 「ドラゴンボール詳しいの?」 「え?」 普通ナメック星人とか、出て来ないだろ、って笑う泉孝介。ドラゴンボール詳しいだなんて女子高生、可愛くないよね。ああ、やってしまった。なんで同じ名前なんだ。すごく淋しい気分だ。 「じゃねーや。ピッコロ、だっけ?俺見たことねー」 「あ、今度の集会で私吹くよ」 「お前フルートだろ?」 「あの、フルート奏者がピッコロも吹くんだ。持ち替えとかしたりもして」 「へー。じゃ、次の集会楽しみにしてるから」 「わかった」 「またあとでドラゴンボールの話もしよーな」 そう言って席に戻る。チャイムが鳴り、今の会話を振り返る。 泉くん、私がフルートって知ってた。吹奏楽部だから音楽の授業の質問をしたんじゃなかった。それから、今度ドラゴンボールの話する、んだ。 今更ながらめちゃくちゃドキドキしてきて、これって、その気にならない方が無理だよね?かなり、意識しちゃうよ。 |