「何を見てるんだい」 「髪の色がオレンジになっちゃうと発狂する魔法使いさんの動く城」 「君は普通にタイトルが言えないのかい」 「それにしても髪色にどんだけこだわり持ってんのって話……」 そう言って彼女はこちらを見る。残念なことに目は合わなくて、彼女のふたつの黒いガラス玉は私の目のやや上方を見つめる。 「雷光もそのピンクの髪にこだわり持ってんの?」 そう問うた彼女はちょこちょこと私の方へ寄ってきて、風がそよぐようにピンク色の髪に触れる。 いじらしくて、気持ちいい距離。 「あまりこだわりはないよ。君が嫌いだと言うなら今すぐブルーにしたって構わない」 「それはいや。雷光のピンク色の髪が大好きだもの」 「髪だけ?」 「うん、髪だけ」 そう言いながらも私の腰に絡み付く細く白い腕。刺さっている刀がかちゃりと音を立てる。 ぎゅう、と強くなった圧力を感じれば、無性に可愛らしくて、口元が弛む。 「嘘を吐くのはおよしよ」 瞼の向こうで動くきみの緊張が、私はいとしいよ ***** ハウ/ルの/動く/城のことですね。 雷光さんの口調が好きです。ちゃんと表現出来てるのかな……。一人称とか口調とか色々違ってたらごめんなさい。 タイトル、スウェーデン 100728 |