白雪姫だって、
ラプンツェルだって、



ちらちらこっち見て。うっとうしいなあ。
くすくす笑いあって。話してることなんて容易に想像がつく。
薄暗くなり始めた空と錆びた校門の側でしゃがみこんで携帯をいじる私。
あちらの女子高生からしたら、もうまさに、待ちぼうけを食らったカノジョに見える条件下に、私はいる。
これで雨にでも降られてびしょ濡れになっちゃったらほんとに悲惨。目も当てられない。
いじけた気分で足元に転がっていた石ころを指で弾いた。転がってった方向には影がひとつ。

「笑われてやんの」

「誰のせいよ」

遅い、と言いながら手を空中斜め上に伸ばすと、引っ張って立ち上がらせてくれる泉の力強い手。
繋がれた二人の腕の直線上には泉の楽しそうな顔。このサディストめ。

「お前ぜってー約束すっぽかされた奴に見えてるって」

「だから、それは誰のせいよ」

「悪りぃ、悪りぃ」

「それは悪いと思ってる人の態度じゃないよ」

まあでも、いつものことだから気にしないけど。泉の遅刻も、その悪びれもないごめんも。
今日だって練習が早く終わるから待っとけ、なんて言ってさ。結局約束の六時半から一時間も遅い時間に現れて。なんなのよ、もう。

「ほら、これやるよ」

「ミルクティー?」

「これで許せ」

「……ばーか、安いよ」

とかなんとか言いながら、私はまたいつものように簡単に許しちゃうんだ。
好きな人だからだとか、優しいところもあるからだとか、許してしまう理由は数えきれない程あるんだけれど、何か癪だし、ミルクティーのせいにでもしとこうかな。
泉の自転車の荷台に跨がったところで、どこ行く?と聞かれる。
別にどこかに行きたくて待ってた訳じゃないからなあ、と泉の白いシャツを掴む。

「んー取り敢えずあそこの私を笑った女子高生抜かして行って」


 
結局は王子様とやらが迎えに来てくれるのです



*****
何か急に思いついて急に書きたくなった

100523
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