「なあ」 「……うん?」 どうしようどうしよう。この状況はかなり心臓に悪い。 もちろんルフィは意図してやっている訳じゃないことだって、知ってる。だから余計に質が悪い。 「なあ、プレゼントねーの?」 「あの、ね、ル……フィ」 私は僅か数センチの距離にあるルフィの顔を見上げて、恥ずかしさでまたすぐに顔を伏せた。 今は、視線の先のルフィの足元にさえどきどきしてしまう。何の色気もない、草履のくせに。 「なまえ! なんでこっち見てくんねェんだよ」 「だってそれはっ」 私の顔の両脇に伸びているルフィの腕をギュッと掴んで叫ぶ。 背中に伝う壁の固い感触を再確認。つまり、逃げ場はない訳であって。 痛い、痛いよう。心臓がもう破裂しそう。想像したらもっと痛くなっちゃったし。 ルフィの顔見れないのはこの体勢のせいなんだって。気付け馬鹿。 「なープレゼントっ!」 「だから何にも用意してないんだって!」 「なんでだよ」 「忘れてたの」 もっともらしい言い訳がすっと口から滑り出た。私もズルい大人になってきたってことかなあ。 本当は忘れてた訳じゃない。プレゼントなんてそんなもの、あげていいのか分からなかったのだ。 だって私、ただのクルーだもん。おめでとうを言うくらいが自然なお祝いでしょう? どうせ宴会だって開くんだろうし、いっぱい美味しいもの食べるんだろうし。 「じゃあ今はもう思い出したよな!」 「え? あぁ、うん」 「よし! じゃあプレゼント!」 だから何も用意してないんだって。この馬鹿はいつになったら私を離してくれるんだろう。このままじゃ埒が明かない。 ルフィにとっては無意識の体勢でも、私にはどうしたって意識しすぎてしまうこの体勢はじりじりと私を締め付けて止まない。 「分かった分かった。何がほしいの?」 妥協してそう聞くと、ルフィは目を真丸くして首をひねりだした。 人にねだっておきながら考えてなかったのか、とゲンナリすると同時に、本当に、直感だけで行動してしまう人だなあ、なんて思って口角がわずかに上がる。 「んーなまえから貰えんなら何だっていいや」 どうせ肉だとか答えるんだろうなとか予想していたのに。特大の肉でも買ってあげようかななんて思ってたのに。あれ? 満面の笑みで見下ろされてる私の顔は、きっと恥ずかしいことになっているんだろう。 敵わないなあ。ああこれが、惚れた弱味ってやつ? 余計にねつを増してくよ、指先 ***** キャプテン! 大好きだ! おめでとう! タイトル、あもれ 100505 LUFFY BIRTHDAY |