放課後の校舎裏という王道、頬を朱に染めるという定石。

「あんな」

「ん?」

「言われ慣れとるやろけどな、」

ああやっぱり。俺の勘違いやないみたいや。

「白石のことが好き」

ほうら当たった。言われ慣れとる、確かにそうや。勇気出して告げてくれるその二文字は嬉しいけど、それだけ。心が反応せえへん。彼女がほしいっちゅー願望がない訳やないのになあ。

「ごめんな、今はテニスでいっぱいいっぱいやねん」
「そっ、か」

「ありがとうな」

男にでも告白されればこの心は動くんやろか。それは流石に遠慮したいけど。
やるせないようなこの気持ちの行方をテニスにしかぶつけられへん俺は、なんや格好悪うて、嫌い。
こういう嫌いって感情ならはっきり分かるのに、好きって感情がどんなんなんかが全然分からへん。
口から出任せのごめんとありがとうの虚しさが胸に刺さって痛い。


101223
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