「あああ、何この細かい作業! イライラする!!」

「不器用だもんなお前」

「銀さんはそんな顔して器用だからいいよね」

「そんな顔ってどんな顔だ」

「ていうか私なんで二十歳を過ぎて理科の工作やってんだろ」

「愛しいダーリンの仕事のお手伝いだろーが、文句言うな」

「愛しいハニーに後で報酬の一割寄越しなさいよね」

「バカヤロ、今回の報酬はソッコーで滞納してる家賃行きだ」

「うそ、ただ働きとか」

「社会勉強だよなこれも、ウン」

「都合よくまとめんな。あーもー私休憩! コーヒー入れて来る」

「おー、俺にも入れてきてくれ。砂糖は……」

「3杯でしょ、この糖尿!」




「おわっ、たー!」

「お疲れでーす」

「労え労え。ただ働きだって分かってんのに最後まで手伝ってあげた私を褒めて」

「よーしよし、よーしよし」

「そういうムツゴロウさん的なのは望んでない」

「にしても案外疲れたな」

「ほんとにねえ。……あ、そうだ。みんなで食べようと思ってシュークリーム買ってきてたんだった。新八くんと神楽ちゃんまだ帰ってきてないけど先に食べちゃう?」

「……ったくお前はよォ」

「なんでそんなしかめっ面なの。シュークリーム嫌いだっけ?」

「嫌いじゃねえよ」

「じゃーなんで。フキゲン?」

「不機嫌じゃねーし」

「新八くんと神楽ちゃん待たずに食べようって言ったのが気に入らなかったとか?」

「っ、と。茶ァ入れてくらぁ」

「なんだ結局先に食べるの。あ! 私お茶……」

「渋めだろ、この年増」




「ただいまアルよ〜」

「あ、こんにちは」

「二人ともおかえり。シュークリームあるよ」

「うおおおお、ファインプレーアル!!」

「私と銀時はもう先に頂いたからあとは二人でどーぞ」

「ありがとうございます。にしても、銀さん良かったじゃないですか」

「ア?」

「今朝テレビでやってたシュークリームの特集見て『食いてえなァ』って連呼してたでしょ」

「え、そうなの?」

「……新八ィ、おめーはほんとに空気読めねェな」

「なんで僕ディスられてんですか」

「そーゆーのはよ、あれだよ、日本人のココロだよ」

「はい?」

「ねえ銀時、それってつまり私すごくファインプレーだったってこと?」

「……」

「日本人のココロとかそんな大層なこと言ってないでさ、ちゃんと言葉にしてよ。どーせ照れてるだけでしょ、このカッコつけ」

「ただの偶然だっての」

「まあそうだけど」

「もうかれこれ二年くらい一緒にいンだしよ」

「そーね」

「日常だ、ニチジョウ」

「……うん」


*****
何が書きたかったのかと言うとですね、長い月日を共に過ごしてきた二人だからこその呼吸というか、そういうものを書きたかったのです。
覚えてしまったコーヒーに入れる砂糖の量、相手の好きなお茶の濃さ、ちょっとぶっきらぼうになった口調や態度、言わなくても分かるだろ、でもちょっとは言葉にしてよ、ってそういうアレコレを詰め込んでみました。
そして、ちょっと以心伝心なんかしたりして。
そんな風に言葉がなくても俺の好みや気分を分かってくれるのは長い月日を一緒に過ごしてきた証拠だよな、なにそれなんか嬉しいじゃねーの的な。

あとがき語りすぎで訳分からないですね。ここら辺でやめときます。

130610
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