「千歳、これ」

「!!」

「親戚から貰ってん。もし良かったら」

「ほ、本当に貰って良かと……?」

「う、うん」

目の前の百九十センチを超す巨大が黄色い悲鳴を上げて、私があげたタオルを抱きしめている。
私があげた、トトロのタオルを。

「と、トトロたいいい!」

部室に低い叫び声が響く。

「むぞらしか〜たいがむぞらしか〜」

「そ、そんなに喜んでもらえるとは」

「むぞらしか〜」

妙な光景だ。むさっ苦しい大の男がトトロのタオルをまるで宝石でも見るかのようにキラキラした目で見つめている。正味、ちょっと引く。

「じ、じゃあ、あたし先にコート行っとくから」

「行ってらっしゃーい」

駄目だこりゃ。




スコア表を取るため部室のドアノブを捻る。と同時に中のベンチで就寝中の千歳が視界に入り、びくりと肩が上がった。

「くそう、可愛い顔しやがって」

先程あたしがあげたトトロのタオルを大事そうに抱え、背中を丸めて眠る今の姿は、千歳風に言えば「むぞらしか」だった。下手すると女のあたしより可愛いんじゃないかと思うくらいに。トトロ、と寝言を呟く姿がまたキュンときた。
ていうかどんだけトトロ好きなの。

「……妬けてまうわ」

「トトロに?」

「そう、トトロ……ええっ!?」

いつの間にか千歳がとろんとした目でこちらを見ていた。にやっと口角を上げて。何で起きとんねん。タイミング悪ぅ。

「お前もぎゅーってしたるけん」

「腕広げんな。遠慮するわ」

「素直にならんとね」

あたしが言葉を続けるより早く、腕を引っ張られ千歳の大きい胸にダイブした。トトロのタオルが頬に当たっている。

「お前さんもトトロもむぞらしか〜」

「あたしはトトロと同レベルか」


イタイ子イタイ子とんでけー


*****
トトロのタオルを貰ってやたらテンション上がったのは私です(昨日の出来事)

タイトル、3/19

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