「マネージャー」

「なに? 金ちゃん」

「白石と謙也がケンカしとお」

「は!?」

「ほら、あっち」

「はあ……なんで中三にもなってあいつらあんな本気で言い合いしとん」

「……どーしよ」

「金ちゃん……大丈夫、私がちゃんと仲直りさせてくるから」

「ほんまっ!?」

「任しとき」

そう言ってベンチから立ち上がり、先ほどまで不安げな顔をしていた金ちゃんの赤髪を、安心させるようにくしゃりと撫でる。そのくりくりした目を嬉しそうに細める金ちゃんは素直で可愛い。







「……千里」

「なんかね?」

「どうしたん今日。なんでそんな機嫌悪いん?」

「別に……悪くなかよ」

「うそ」

「……」

「……千里」

「……」

「……」

「……お前さんは、金ちゃんの事好いとっと?」

「は……?」

「後輩としてやなくて、男として好いとっと?」

「なんでそうなるん」

「よう金ちゃんの頭撫でとうやろ、優しい目して。今日も。俺はそぎゃんこつしてもらったことなかよ」

「……」

「なんも思とらん男にそんなこつすると思えんばい。お前さん、無理して俺と付き合っとんやなかと?俺んこつほんまは好きやなかとね?」

「……千里。それ以上言ったら私本気で怒るで」

「……」

「まず私は金ちゃんのこと後輩としては好きやけど、それだけ。よう頭撫でとんのは認めるけど、あれも母性本能?みたいな。とりあえず金ちゃんを好きとかありえへんから。私が好きなんは千里やで。ほんまにほんまに好き。それだけは疑わんとってほしかった」

「すまん」

「でも、私も千里を不安にさせてごめん」

「っ、そぎゃんこつ!」

「無理せんといて」

「……やっぱお前さんには敵わんばい」

「せやろ? それから」

「?」

「私の身長で千里の頭撫でれるわけないやろ」

「……それもそうやね」

「はあ。千里、ちょっと屈んでみて。頭撫でたるから」

「よかとね?」

「いいで別にそんくらい」

「じゃあ、お言葉に甘えて……」

すっと下げられた頭が私の目の前に来る。もじゃもじゃの髪の毛でさえ、こんなにも愛しいのに。
なんだか拗ねたような気分になったから、頭を撫でると見せかけて唇を重ねてやったら、千里の大きな手が後頭部に回ってきて、あっという間に主導権はあちら側に。
やっと二人の間に距離ができたとき、私は腰が砕けてしまった。鎖骨がじんじんする。くらくらどきどき?

「ちょっと、舌……」

「久しぶりだけん、つい」

「アホちゃうん。ここ道路やねんけど」

「すまんすまん」

「ばーか。もうしばらくせえへんからな」

「赤うなって、むぞらしかねー。俺んこつ好きなくせに」

「好きすぎて堪らんわ! 悪いか!」

「ふふ、俺もお前さんのこつたいぎゃ好いとうよ」

「うわー青春クサッ!」


掴みとられた鼓動の行方


111009
甘々なお話が書きたくて。
久々に書いたから書き方ちょっと分かりませんでした。一番分からなかったのは千歳の方言ですが。
お粗末でした。

タイトル、あもれ
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