珍しく千歳から電話が掛かってきたもんだから、私はすごく嬉しくて、うきうきしながら通話ボタンを押した。けれど千歳が開口早々いつもとは違う情けない声で「助けて」なんて言うから、私は頭の中が真っ白になって、気付いたら千歳の部屋の前まで走ってきていた。 「っ……千歳!」 「助けて!」 「どうしたん!?」 「くっ、クモがっ!」 「は?」 「でっかいクモが俺ん布団ば上に……!」 「ク、モ?」 「ぎゃああああ! 動いたばい!」 でかい図体した男がギャーギャー騒ぎながら私を盾にしている様はそれはそれは滑稽なものだろう。 110807 ごめんなさい |