シャワーを浴び終わり、濡れた髪を彼女に乾かしてもらおうかなどとふざけたことを考えながらベッドの方へ向かえば、彼女は枕を抱きしめながら眠りこけていた。明かりを点しているテレビでは俺が好きなジブリアニメがやっている。 「そういえば今日放送日やったばい」 半分くらい終わってしまったジブリアニメの続きも気になるが、それよりももっと気になるのが目の前で無防備に眠る彼女だ。 「……ほんまに何もされたくなかなら男の前で無防備に寝たらいけんよ」 寝顔を覗いたら俺の髪から滴が落ちた。んっ、と眉間に皺を寄せ身動ぎをする姿に理性が飛んでしまいそうになる。 「ああもう! こんなん生殺しったい!」 横目で彼女を見やりながら必死に心を落ち着かせる。 大丈夫、俺は我慢出来る!出来る!出来る! 「おーい、そろそろ起きんね」 ぺちぺちと彼女の頬を叩けばぱちりと目が開いて、それから黒目がゆっくりこちらを向いた。おはよう、と声を掛ければ「寝てた?」なんて掠れた声で言うもんだから、なけなしの理性までふっ飛んでしまいそうになった。 「お風呂入らな……」 「今日は暑かったけんね。はよシャワー浴びてすっきりしてきなっせ」 「……何でそんなにやけとん」 「え?」 「あやしい」 「何もなかよ!(さっきまで寝顔に欲情してましたとか、言える訳なか!)」 「絶対覗くなや。ていうかジブリやっとるからそれだけ見ときや。風呂場に近付くのも禁止」 「俺の信用なかねー」 「うん」 はっきり言い切って風呂場へ向かっていく後ろ姿を見送って、ぼーっとテレビを眺める。 信用がない、そう言い切られると意外に傷つく。部屋に二人きり、というのはラッキーな状況だと思ったのに、上手くいかないことだからけだ。 「……俺も不器用ったい」 110406 |