自分の部屋の窓から見えるその隣の家の窓の電気が点いた。そしてカーテンをくぐりぬけて金色の頭が現れる。おはよう、と挨拶をしたけど謙也はまだ寝惚けているのか目を虚ろにさせてこちらを黙って見ている。
そしてそのはっきりしない意識のままごにょごにょと何か呟くもんだから、私は謙也の口からこぼれたそれを言葉にしてあげることは出来なかった。

「なあ謙也、何て?」

謙也の唇に耳を寄せた瞬間予想外の熱が頬を伝った。離れた後に残った唾液が冷えて冷たい。

「なっ……なにして!」

「不意打ち」

「そんなん、ずるい」

「これで朝練頑張れる気ぃするわー」


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