▼ またまたユウジが芸人になってる


テレビからは、ぎゃははとあまり上品ではない笑い声が聞こえてくる。画面の中には愛しい人。大勢いる芸人さんたちの中でも一際目を引く(のは私の惚れた弱味なのかもしれないけど)私の恋人。
今は好きな芸能人の話で画面の中の人たちは盛り上がっている。こういう話題は嫌いだ。

「あー!高橋さん可愛いやんな!」

……ってなみたいにユウジが綺麗な人だとか可愛い人を口にするから。私以外の女の人をそんな風に言うから。
アホ、と自分に対して言い聞かせた。ユウジは一生懸命仕事してんのに、何言うとん。








「ただいまー」

「ユウジ?」

「おん、遅なってごめん」

「ご飯食べる?レンジでチンやけど」

「おー食う」

「……そういえば今日この前思いっきりスベッたって言いよった番組見たで」

「見んでええのに」

「逆にスベりっぷりがおもろかった」

「お前なあ……」

「はい、ご飯」

「おお!うまそうやん」

「当ったり前やろ」

「いただきますー」

「……」

「……そんなじっと見られとったら食べにくいんやけど。どうかしたんか?」

「え?……何でもないけど」

「ふーん?」

「っ、あ!ユウジって芸能人の高橋さん好きやってんな!今日の番組見て初めて知ったわー。付き合って結構経つのになあ」

「は?何言うとん。あんなん嘘に決まっとんやん」

「へ?」

「俺が可愛い思うんはお前だけやし、好きなんもお前だけや」

「嘘やん」

「お前なあ、しばくど。ネタか本気かくらい分かれや」

「せやかてそんなん、分からんもん」

「はあ……ええか?いちいちあんなんで不安にならんでええねん。俺の一番はお前や。分かったな?」

「……不安になんかなってへん」

「はいはい。あ、おかわり」


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