揺れる葉っぱたちの音。
近くを走る車の音。
子どもたちの笑ってる音。

そして発車のアナウンス。
高い音を響かせる踏切。

「またここに居んの」

「泉……」

「帰んぞ」

「やだ。先帰ってて」

私はこの静かな空間が好きだ。周りの何てことない音に耳をすませることができるこの穏やかさが好きだ。

「ここに居たってあいつは来ねえよ」

「何で泉がそんなこと決めつけるの」

「決めつけるもなにも。いい加減現実見ろよ」

「上から目線で何様のつもり? 放っといて」

「放っとけねーよ。何回も言ってるだろ。俺は、お前が、」

「黙ってよ!」

私はこの静かな空間が好きだ。周りの何てことない音に耳をすませることができるこの穏やかさが好きだ。
彼が好きだと言っていたから、好きだ。隣にあった熱いくらいの体温が好きだ。

「過去形になんて出来るわけがない。泉なんて大嫌い。この世で一番」

「嫌い?」

真剣な眼差しが凍てついた空気と一緒に胸に刺さる。

「この世で一番嫌いなのは神様、なんだろ?」


大嫌いな世界へ告ぐ。
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