Dream novel*short



Small×Kiss×Tall

「リョーマホント小さくて可愛い〜!」
「先輩がデカ過ぎなんスよ……」


「なっ! でかくないし! リョーマが小さいんでしょ!」
「……小さい小さい言わないでほしいんスけど……」
「なんで? べつに良いと思うんだけど。可愛いし」
「……彼女より小さいなんて、ヤダ」
「え? なにか言った?」
「なんもないっス」


部活中。
「リョーマ頑張ってー」
「おい越前、また彼女が来てるぞ」
桃先輩がニヤニヤしながら話し掛けてきた。
「……そっスか」
「おいおい越前、冷たいじゃねぇかよ。せっかく可愛い彼女が応援に来てくれてんのによ」
「ほっといて欲しいっス……。」
「何が不満なんだよ?あんな可愛い彼女がいて。3年生で年上だけど、人なつっこくて優しいし。背も高くてキレイだしよ」

その背が問題なんだけど……。
そう思ったけど、口にしたらまた何か言われるから黙っていた。
だが、運が悪かった。
「おチビはその身長差に悩んでるんだよね〜」
「英二先輩……」
もうため息しか出ない。
「あ、なるほどな! いくら年上とは言え、彼女より小さいのは気になる訳ね!」
「そーそー。乾の言う通り、牛乳飲めば良いのに〜」
そう言いながら楽しそうに頭を撫で付けてくる英二先輩の手を軽く避けながら、
「……余計なお世話っス……」
俺は言った。


帰り道。
「ねーねー。さっき、私の方を見ながら桃ちゃんと英二と、なんか話してなかった?」
「……別に」
「えー、話してたじゃん! 私の事じゃないの? “彼女”とか聞こえたもん」
「……耳良過ぎ……」
結構辺りはざわついてた筈なのに……。
「リョーマが話してる事は聞こえるのー」
「プライバシーの侵害っスよ」
「ひどっ! 大切な彼女にそういうこと言う!? そんなヤツにはっ!」
先輩はそう言いながら、俺の頭を両手でグリグリとし始めた。
「痛っ!!」
「悪い子にはお仕置きです」
先輩は腰に手を置いてふふん、と笑った。

……こんな姿、端から見たらまるで姉弟みたいじゃん。

それがイヤだった。
俺は彼氏として先輩の隣にいたいのに。
先輩は、俺の事を弟くらいにしか思ってないんじゃないか?
身長が、俺と先輩の差を一段と際だたせている。


「それ、いっつも痛いって言ってるじゃないっスか」
俺が頭を押さえながら言うと、先輩は肩を竦めながら笑った。
「だって、丁度良い高さに頭があるしー」
「……悪かったっスね、小さくて」
「どうしたのよ、ふてくされて」
「なんでもないっスよ」


先輩の方が高いから、向こうは簡単にこっちに触れられる。
でも、こっちは届かない。それがもどかしい。


「……そんな怒らなくても良いじゃん」
「怒ってないっス」
「嘘。怒ってるでしょ」
怒ってはいない。
ただ、自分に苛立つだけ。
届かない。
向こうは簡単に届くのに。
届かない。届かない。
大好きなこの子の頭に、頬に、触れたいのに。
ズルい、先輩ばっかり。


「リョーマ、私と付き合う前は身長の事なんか気にしないで、伸び伸びとテニスしてたのに……」
「………………」
「最近、身長に関係する話になると、直ぐ怒っちゃうよね。……私のせい?」
先輩が、ぽつんと言った。
「っ、先輩のせいじゃ─!」
「私が大きいから……一緒に並ぶのがイヤなの?」
「違……っ」
「ごめんね、こんな大きくて。私もね、小さい方が女の子っぽくていいなっていっつも思う……。私達が並ぶと、姉弟みたいだもんね……。私なんか彼女に見えないもんね……。」
「先輩は悪くない─」
「私達、付き合わなければよかったのかなぁ……」
先輩がそう言った瞬間、自分の中で何かが弾けた。


先輩の襟首を掴んで、自分の方に引っぱり寄せた。
「えっ……!? ちょ、リョーマ!?」
襟首を引っぱられた先輩は中腰になりながら、俺の方に顔を近づけた。
こうでもしないと、俺は届かないんだ。


「……リョーマ、キスがしたかったの?」
顔を離してから、先輩が聞いた。
「……やっぱ先輩デカ過ぎ」
俺は顔を背けながら言った。
すると、先輩の楽しそうな笑い声が聞こえた。
「今は許してあげる。デカくても良いよ。ふてるリョーマが可愛いから」
「……先輩には負けるっス」


思わず顔を逸らしたのは
(あれ以上見てたら)(きっと)(我慢出来なくなるから)




夢小説書き始めてまだ間もない頃に書いた話。
ちょっと会話多めな感じにしてみようと頑張って、見事失敗しました←
うーん、やっぱなんかちょっとリョマっぽくないなぁ。
……精進しますorz



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