鈍へ

※経一の遺書







鈍へ

お前に手紙を書くのは初めてだ。
そもそも手紙なんてものを今までほとんど書いたことがないからなんだか慣れない。
だから言葉が上手くまとまるかわからないが、許してくれ。

これをお前が読んでるってことはオレはあのバカを救えなかったんだな。
情けねぇな。
今これを書いてる時点で予想はしてる。
オレの限界は近い。
自分の命を犠牲にあいつを救おうだなんて
鈍ちゃんの大嫌いな偽善だ。

鈍ちゃん、ごめんな。
オレ、役立たずで。

鈍ちゃんにプロポーズしたとき、お前が死ぬ時まで一緒にいてやるって言ったけど、嘘になっちまった。

いや、ずっと嘘だったんだ。

もし鈍ちゃんが死にそうになったらオレが代わりに死ぬから、鈍ちゃんには生きて欲しい。

偽善で自己犠牲だけど
鈍ちゃんには生きてて欲しいんだ。
オレがいなくても鈍ちゃんには生きて
幸せになって欲しい。

何も言わずに出ていってごめん。
優しくなくてごめん。
泣かせてごめん。

ごめん、ごめんなぁ、鈍。
オレ、お前に何もしてやれなかった。
ずっと愛してた。
お前だけが好きでお前だけを愛してた。
一生で愛した女はお前だけだ。

ずっと鈍が好きで、好きで、好きで
好きだったのに
この無駄にでかい手じゃお前を幸せにしてやれなかった。
あのバカをぶん殴って引き戻して、鈍ちゃんにも幸せになって欲しかったのに、
ごめんな。
ごめんな。
オレ、もっと強ければよかった。

鈍。鈍。鈍。鈍。
あいしてる。

泣くなよ。
オレが死んだくらいで泣くなよ。

鈍、
お前にはもっと自分の為に生きて欲しい。

無理をしないで、笑って、そうして、オレを忘れてもいいから
きっと幸せになって欲しい。

本当は、一度くらい抱きしめてやりたかったけど意気地無しでごめん。



110418
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