安田BD
※安本? ※友達同士
「なぁ、本好。今日って何の日か知ってる?」 朝から下品に顔を緩ませた安田がうざい。最悪の一日の幕開け。美っちゃんは部活の朝練で先に登校した。オレは低血圧だから朝は弱い。一人でゆっくり血圧を上げながら登校しようと思ったのに出くわしたのがこいつだった。最悪。死んでしまえ。 「わかんない?んー…じゃあヒント!オレに関係してます。」 シカト。こいつはシカトが一番堪えるらしいから聞かないフリをして歩く。今朝は寒くて息が白い。母さん、体調を悪くしてなきゃいいけど。 「ちょっと!?本好くん無視!?無視しちゃうの!?さすがにひどくね!?今日の主役に対してそれはひどくね!?」 あーうざいうざい。今日の一限は理科だっけ。慣性の法則の二章だったはず。オレは科学より生物が好きなんだけど、ほら、いきものって中身が不思議でロマンがあるから。あれなんか隣のヤツがすごくうざい。騒ぐしなんか怒ってるし、目の前に立ちはだかるし。 「…安田。」 今日一番に口にする名前がこいつって厄日なのかな。呼ばれたこいつはさっきの怒ったフリをさっさとやめてニヤニヤと首を傾げる。 「ん?答えわかった?」 「誕生日おめでとう。だから消えて。」 「それだけかよ。プレゼントとかは?」 こいつのめげない所が嫌いだ。どうしてこんなにひどいことを言ってあげてるのにニヤニヤ顔でオレに付き纏えるんだ。 「………思い切りぶん殴られるのと、男からの熱いキス、どっちがいい?」 オレは至って優しい人間のはずなのにどうしてこいつを打ちのめす為にはこうも嫌みばかり思い付けるのだろう。さぁ、苦い顔をしてオレの前から消えろ。 「あっ、じゃあキスでお願いします。」 「死ね。」 まさか選ぶとは思わなかった。変態め。しかも動揺ゼロの軽々しさ。逆にオレが動揺させられた。悔しい。血圧が一気に上がった気がして頭が熱い。早く教室に着いて予習でもしよう。そして早く安田は死ね。もう本当うざい。
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