ハングドハンド
※本誌43号ネタ
鈍さんはキャラメルおじさんが好きなんだと思う。けどハデス先生のことも好きなんだと思います。 鈍さんと一緒におんせんに入って鈍さんがみさおの髪を乾かしてくれました。操の髪は少し伸びました。いつも自分でやるとぐちゃぐちゃになってしまうのに、鈍さんの手はまほうみたいでした。操は今しあわせなんです。お父さんとははなれていますが、おじいさんがいて、キャラメルおじさんや鈍さんやみとがわ先生も優しいのです。 操はじゆうと言う言葉が好きになりました。これはハデス先生が好きにしろと言ってくれたのですきになりました。けれど操はハデス先生がじゆうには見えません。いつも苦しそうにしています。おとうさんもずっと苦しそうにしていました。だからじゆうという言葉がすきです。
「鈍さん、ハデス先生はどうしてじゆうじゃないんでしょう。」
髪をなでていた鈍さんの手が一瞬ふるえて冷たくなったので操はいけないことを聞いたかも知れない、と思いました。けど鈍さんの手はまたさらさらと操の髪をなでて、優しい笑い声が聞こえました。
「あら〜…操ちゃんにもそう見える?ふふ、反面教師よね。でも操ちゃんは気にしなくていいのよ。操ちゃんは操ちゃんなんだから。」
鈍さんはいつもより少しだけ多く喋って冷えた手は戻らず、優しい声が悲しそうにふるえていました。髪はかわいているのに鈍さんは操の髪をなでます。操はふりかえりません。今ふりむいたら鈍さんがこわれてしまいそうな気がしたからです。
「操ちゃんはきっと美人になるわ。」
鈍さんは少し関係のないことを言って操の髪をなでていました。操はその手が気持ち良くて少し目をとじました。
101005
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