拒絶を伴う

※藤初体験話
※一応R18。
※逸人くんは最後に影が出るくらいで居ません。
※沙織先生×藤です。
※続編で藤逸を予定しています。









 保健医の沙織先生は目立った美人ではなかったがこの学校の教師の中では若く優しくて人気があった。周りが幼稚に見えて授業は楽しくなかった。家は家で親が鬱陶しく休まらない。仮病で保健室のベッドを利用しはじめれば沙織先生は快くベッドを貸した。

「藤くん。毎日体調が良くないって大丈夫なの?」
 ベッドに入り沙織先生が側でオレの脈を計りながら言った。
「…休んだら治ります。」
「そう?脈も早いみたいだし…先生は心配なのよ。」
 沙織先生の声は細く言って口元は心配の様子もなく笑っていた。ああ、どうせ欺くつもりもない易い嘘の仮病なのだから見破られているのだろう。それでも教室で退屈しているより眠っている方が幾らか有意義に思えていた。
「藤くん、先生のことが好きなのよね。」
 的外れだった。好き?なんでオレが一回りも歳の違う沙織先生を?
「だから仮病を使って保健室に来るんでしょう。」
 見透かすみたいに言ってどこか自慢気な沙織先生は脈を計っていた手でオレの手をぎゅうと握ってベッドに手を着いた。沙織先生の言葉はまるで当たっていなかったけどオレが目を逸らせば確信したかの様に笑う。
「先生も藤くんが好きよ。…いいこと教えてあげようか。」
 沙織先生の顔が近づいて来てルージュの光る唇が目に映る。沙織先生を好きか嫌いかで聞かれれば好きだったし沙織先生が何をしようとしているかもわかった。けど抵抗はなかったし、初めてのことに興味はあった。大人になれる気がして、引かれるままに唇を重ねた。

 全身に沙織先生の匂い残る。さっきまでオレに跨がって腰を揺らしていた沙織先生はさっさと洋服を着こんで何事もなかった様に髪を纏めた。
「藤くん、疲れちゃった?」
 強引なセックス。好きでもない女とだって大抵の男はセックスを楽しめるらしいけどそれに自分は該当しないことを知った。いつもは優しく見えていた沙織先生の笑顔が汚れて見えて部屋に充満する湿った空気や口元に残る唾液の臭さに目が眩む。二度射精して疲れの所為か呼吸も苦しかった。
「少し眠ってていいわよ。」
 沙織先生がオレの頭を撫でた。悪寒、鳥肌、胃が痙攣する。重い頭を持ち上げてベッドを降り保健室から飛び出した。沙織先生がオレを呼んだけど戻りたくなかった。トイレに駆け込んで今朝食べたものを全部吐いた。気持ち悪い。大人になれるなんてとんでもなかった。想像と現実はかけ離れていたのかあの生々しい他人の温もりが身体を包む感触が蘇ってはえづく。オレを跨いで楽しそうに腰を振る女が目に焼き付いて離れず口から体液しか出なくなるまで吐いた。

 結局それから保健室に立ち入ることは出来ずひと月、沙織先生は産休に入った。別の男の子を宿した身体でオレを跨いだのかと思えば頭痛がした。沙織先生本人は元よりその旦那の性器と間接的にでも接触したという嫌悪からだった。
 講堂に悲鳴が響く。壇上にはひょろ長く白いと遠くから見ても幸薄そうな男が立っていた。新しい養護教諭だった。







091210
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