食べて

※4話読んだ時点での妄想。






「みっちゃん、オレはいらない子かなぁ。」
 弱い、弱い肉体に精神。弱肉強食という言葉がある。自然の摂理だと言う。ならばオレは食われる側か。誰かの肉となることだけが使命ならばどうしてこんなにも苦しい、無駄な感情ばかり。オレにそれらを与えた誰かがいるのならそいつは間違いなくサディストだ。肉を目の前にした強者たちはオレを捕食せんとするだろう、当然だ。それが摂理なのだ。生まれつき弱い肉体は彼らに食われる為に。白く伸びた骨は髄を包み筋組織がそれらを引き合わせ纏い、血液を巡らせ指先にまで敏感な神経を備え、美しく滑らかな皮膚が覆いオレを作る。痛みを感じるだけの神経を引きちぎってしまいたい。食われて絶えるのならば一層安楽に。
「くだらねぇこと言ってんじゃねぇぞ。」
 みっちゃんが顔を上げた。みっちゃんは大きくて強い。女の子が大好きで女の子にはモテないけど世界で一番カッコいい。
「お前は、このオレが泣く所を見たいのか。」
 オレは首を横に振った。みっちゃんは変声期を経て太くなった声でだろ、と満足げに笑ってオレの肩に腕を回した。
 みっちゃんは強い、強い。弱肉強食という言葉がホントなら、オレは肉となるしか能のない人間なら。みっちゃんに残さず食べられてみっちゃんのお腹をいっぱいにしたい、そう思った。





090930
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