死なない(新平)

※「譲らない」の続編。
※性描写を含む為、成人向け。







「平丸先生、怖がらないでくださーい。」
 いきなりこんなことをするつもりじゃなかったのに。僕は好きだって平丸先生に言いましたけど、平丸先生からは好きとも嫌いとも聞いてませんし。僕って紳士なんですよ。だからちゃんと平丸先生がいいって言うまでは手だって繋ぐ気はなかったです。男同士ってわかってますし、平丸先生は女の人が好きだって言うのも知ってたんですよ。だから、来るなり煽った平丸先生が悪いです。
「新妻くん、待った、違う!」
「何が違うですか?」
 平丸先生の唇はがさがさと乾燥しているのに柔らかくて好きな所が増えました、とか思いながら舐めたり食んだり吸ったりしながらキスをしていたら急に唇を離されて否定の言葉。仕方なくキスは止めてわけを聞きます。ローションでしっかり濡らした指は平丸先生のお尻に刺さったままですけど。
「僕に、掘られる趣味はない!」
「僕だってないです。」
 間髪を入れずに返せば平丸先生は目を泳がせます。ああ、ちゃんと僕を見ててください。ぬるりと指を平丸先生の身体の中に押し込めばぎゅって僕を抱き締める力が強くなりました。可愛い、可愛いです。平丸先生はどうやら突っ込みたいみたいですけどこんなに可愛いのに止めてあげる気はありません。
「怖くないですよー、平丸先生。ちゃんと丁寧に馴らしますから。」
 平丸先生の身体の中は温かくて蕩けそうでした。初めに嫌な思いをさせて二度と触らせて貰えなくなるのは困りますし優しく、撫でる様に指を動かします。
「っ、大体…君の方が小さくて女性みたいなのに…何で僕が…っ、」
「平丸先生の方が大人なんですからガマンしてください。それに僕の小さい身体に平丸先生が入るより平丸先生の身体に小さい僕が入る方がすっぽりですよ。」
 ちゃんと身体は感じてる癖に負けず嫌いですね。そんな平丸先生も好きですよ。爪を立てないように指を動かしてたらぐちゃぐちゃって音が聞こえます。平丸先生から出る音も可愛いなぁって思ってぐちゃぐちゃってリズミカルに口挟んだら平丸先生が更に熱くなって顔を僕の胸に埋めました。なんですか、僕のことを女みたいとか言って措いて平丸先生の方が少年マンガのヒロイン並に可愛いです。指を一本増やせば震えて、指を一本増やせば鼻からくぐもった声を洩らして。それだけでこんなに可愛いのに
「…僕が突っ込んだら平丸先生が死んじゃうんじゃありませんか?」
 思ったことをそのまま言ってみれば不安が増した。いくら僕より平丸先生の方が大人で大きいと言っても細くて僕とそう力も変わらない。
「僕が平丸先生が可愛すぎる余りにズッコンバッコンし過ぎて平丸先生のお尻がビシッて切れたり背骨がバキッと折れたりお腹の調子がぐるぐるって悪くなったりしたら、僕は悲しいです。」
 平丸先生の所為にして僕は自分の性欲を発散させたかっただけじゃないか。後悔した。平丸先生は僕のことを好きではないのだろう。男相手なんて抵抗さえなければ遊ぶにはちょうどいい。情けない。肩書きは根暗変人高校生から売れっ子漫画家に変わったけれど本質は何も変わってない。平丸先生のお尻が痛くないようにゆっくり指を抜きました。平丸先生は今、どんな顔をしているんだろう。見れなくて、胸が苦しい。僕だけがこんなに平丸先生を好きなんですか。どうして平丸先生を好きなんですか。平丸先生がしてくれる電話が可愛くて内容はあんまり聞いてなかったけど声が好きで、気付いたらイヤラシイことばっかり考えてました。こんなことするつもりがなかったなんて嘘です。平丸先生が家に来てくれるなんて、イヤラシイ僕はイヤラシイことも考えてました。アシスタントさんにはお休みにしてもらって携帯もファックスも目覚まし時計も、全部全部電源を断って、インターフォンも受話器を上げたままにしてあります。部屋の鍵も掛けてあります。
「オイ、新妻…」
 平丸先生の声にはっとして目を合わせました。
「大丈夫です。平丸先生がしたいって言うまで僕は何もしないです。」
 平丸先生は熱った顔をしかめて唇を噛みしめました。ああ、きっとツラかったんですね。僕は好きな人を苦しめたいワケじゃなかったのに。
「…途中でやめるな。ちゃんと…最後まで、責任とれ。」
 平丸先生ってやっぱり変わった人です。僕は若くてイヤラシイことも考える男だから、平丸先生にそう言われて躊躇うワケがないです。まだ濡れてる唇にキスを落として、平丸先生の足を出来るだけ広げさせてゆっくり、ゆっくり、ゆっくり。
「平丸先生、好きです。僕のこと、好きになってください。」



……………………………………
 新妻くんはドSだった。ピョンピョン跳ねて小動物的な可愛さを誇っているから下手をすれば風俗嬢よりいいかも知れないと思ったのは間違いだった。有り得ない。襲おうとして襲い返されるなんて有り得ない。それになんだ?あのキスは。最近の十代ってあんなに激しいのか?それとも僕がもう若くない?…やめだ。それはナシ。力で負かされテクニックで負かされ言葉でも負かされ、掘られて、辱しめて、散々悦くしておいて、焦らされて、さらに強請らされた。有り得ない。今までで一番良かったかも知れないと思ってる。…有り得ない。……ちょっと新妻くんの声が好きかも知れない。






090829

※天然ドS新妻

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